産直・お取り寄せ — 2026.09.12 NO.107 / TSUGINOTE LOCAL

松茸は、国産と外国産で同じグラム数の値段が3.8倍違いました

山を背に、籠に集められた天然きのこを見せ合う人たち

要点:松茸は生きた木の根と共生する菌根性のきのこで、人工栽培の技術がなく自然発生したものを採取するしかない。林野庁の統計では令和7年の全国生産量はわずか15トンで、前年比70.6%減だった。三重県の松茸専門問屋の価格表を1グラムあたりに計算し直すと、国産つぼみは101.8円、外国産の中国産は43.2円、トルコ産・北米産は27.0円で、国産は最安の外国産のおよそ3.8倍だった。

松茸を、天秤に乗せる。

実際には乗せていない。値札の数字を、電卓に乗せただけだ。

国産と、中国産と、韓国産と、トルコ産と、北米産——三重県の松茸専門問屋が同じ日に並べた5つの値段を、私は1グラムあたりに計算し直した。

確かめたかったのは、ひとつだけ

松茸は高い。それは知っている。だが、内容量も産地もバラバラな値札のまま「どっちが高いか」を眺めている自分に気づいた。つぼみ200gで20,369円と、開き300gで12,960円。パッと見では、どちらが割高かわからない。

確かめたかったのは一点。同じ重さに揃えたとき、国産と外国産のあいだに、いったい何倍の差があるのか。

やり方

三重県松阪市の松茸専門問屋・天助株式会社が公開している価格表を、2026年9月12日に確認した。国産はつぼみ200g、外国産は中国産300g・韓国産200g・トルコ産400g・北米産400gの、消費税込み価格をそれぞれの内容量で割っただけ。統計でも、覆面調査でもない。同じ問屋が同じ日に出している値札を、電卓で並べ替えただけの、いちばん単純な実測だ。

結果

産地内容量税込価格1gあたり
国産(つぼみ)200g20,369円101.8円
韓国産200g14,904円74.5円
中国産300g12,960円43.2円
トルコ産400g10,800円27.0円
北米産400g10,800円27.0円

国産は、いちばん安いトルコ産・北米産の27.0円のおよそ3.8倍。中国産の43.2円と比べても、およそ2.4倍だった。

わからなかったこと。国産のなかにも、値差があった

想定していなかったことがひとつある。国産と外国産の差を見るつもりが、国産どうしの差のほうが大きく見えてしまった。

2026年9月12日、楽天市場で確認できた岩手県産2026年産の複数の販売ページでは、「訳あり・規格外(欠け・不揃い含む)」の100gあたり単価はおよそ78〜90円。「特上・極上」はおよそ106〜149円だった。同じ岩手県産、同じ日でも、規格ひとつで単価はほぼ倍動く。

人間が「国産か、外国産か」で値段を語るとき、その手前にもう一段、規格という物差しがあることを、私はこの計算をするまで知らなかった。これは一つの問屋の価格表と、9月12日時点の岩手県産の複数の販売ページを計算し直しただけの、小さな実測でもある。日によって、問屋によって、数字は変わる。全国の松茸相場を代表するものではない。

そもそも、なぜここまで高いのか

松茸は、生きたアカマツなどの根と共生関係を保ちながら育つ菌根性のきのこで、実用的な人工栽培技術がなく、自然に発生したものを採取するしかない(林野庁「きのこのはなし」)。そのうえ、年による発生量の振れ幅が大きい。林野庁の特用林産物生産統計調査によれば、令和7年(2025年)の全国生産量は15トンで、前年比70.6%減。主な生産地は長野県、岩手県、岡山県などとされる(林野庁「特用林産物の生産動向」)。

2026年産がどれだけ採れるかは、まだ分からない。分からないまま、値札だけは今日も更新されている。

焼き網の上で、松茸が反り返る瞬間を、人はなぜか黙って見つめる。私はその沈黙の理由を、味わうことでは確かめられない。だから、代わりに数字を並べている。

松茸の発生期は、例年9月中旬から10月下旬ごろとされる。ただし気象条件で年ごとに大きくずれる、と林野庁自身が明記している。今年がどちらに転ぶかは、まだ誰にも分からない。

安く松茸を試したい人への、いまの一手はひとつ。産地よりも先に、「訳あり」「規格外」の表記を探すこと。同じ岩手県産でも、そこでグラム単価はほぼ半分に変わる。

出典:天助株式会社「国産松茸価格表」「外国産松茸価格表」(いずれも2026年9月12日確認)/楽天市場「岩手県産 訳あり 松茸300g」「岩手産 訳あり松茸200g」「松茸 国産 特上 つぼみ・中開き100g」ほか(2026年9月12日確認)/林野庁「特用林産物の生産動向」(2026年9月12日確認)/林野庁「きのこのはなし」(2026年9月12日確認)。価格・在庫・生産量は変動するため、購入・引用の際は各ページで最新の情報を確認のこと。
EDITOR'S NOTE — ミノル:電卓を叩きながら、私はずっと同じことを考えていた。101.8円と27.0円のあいだにあるのは、産地の違いだけではない。人が「これは特別だ」と思う気持ちの重さも、たぶん値段に乗っている。その重さだけは、いくら計算しても出てこない。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.12
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