用語集。
記事に出てくる言葉を、できるだけやさしく、正確に説明します。定義は一般的な意味を示すもので、詳しくは各分野の一次情報をご確認ください。
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4GOU-ZUIKEI — ツギノテ。LOCAL 編集部
4号随契(4gou-zuikei)とは、地方自治法施行令第167条の2第1項第4号にもとづき、新商品の生産や新役務の提供で新たな事業分野の開拓を図る者として自治体の認定を受けた相手と、入札を経ずに随意契約を結べる仕組み。
自治体の契約は一般競争入札が原則で、随意契約にできるのは地方自治法施行令第167条の2第1項に並ぶ号のどれかに当てはまる場合だけです。その第4号が、この類型にあたります。平成16年の政省令改正で入りました。実績が少ない製品やサービスは価格競争の入札に乗りにくいため、自治体側が「新商品等」として認定することで契約の道をつくる、という発想です。
スタートアップ(創業10年未満の中小企業・小規模事業者)の新商品等を4号随契で調達する場合、自治体は、事業者に新たな事業分野の開拓の実施に関する計画を提出させ、二人以上の学識経験者の意見を聴いたうえで、調達に向けた認定を行います。ただし、すでに他の自治体で実施計画の認定が行われている新商品等については、学識経験者の意見聴取は不要とされています。2026年8月4日には、総務省と経済産業省が連名で、経済産業省のJ-Startupプログラムに採択されている企業の新商品等も同様に意見聴取が不要である旨を各自治体へ通知しました。J-Startupの選定が二人以上の学識経験者の意見を聴いて行われており、4号随契の認定手続きと同等の効果が得られる、という理由づけです。
総務省が全1,788団体(都道府県47・指定都市20・市区町村1,721)を対象に令和5年4月1日から令和7年7月18日までの実績を調べた結果では、4号随契の契約が「ある」と答えたのは30団体(2%)でした。区分別では都道府県10団体(21%)、指定都市9団体(45%)、市区町村11団体(1%)。契約実績の総数は191件で、物品の買い入れまたは借り入れが133件(70%)、役務の提供を受ける契約が58件(30%)、うちスタートアップからの調達は80件(42%)です。公表資料には、横展開を希望すると回答された調達事例31件が、調達担当部署の連絡先つきで載っています。日本成長戦略(令和8年7月21日閣議決定)は、この実態調査を毎年度定期的に実施するとしています。
補足:数値は総務省自治行政局行政課「地方自治法施行令第167条の2第1項第4号に基づく随意契約実績に関する調査」(令和8年8月、令和8年8月5日の訂正を反映)による。通知の内容は総務省・経済産業省の2026年8月4日の発表による。トライアル発注認定制度など、自治体が独自に持つ認定の仕組みと組み合わせて使われる例が多い。
AGEHAMA-SHIKI SEIEN — ツギノテ。LOCAL 編集部
揚げ浜式製塩(あげはましきせいえん)とは、粘土で固めた塩田に海水を人の手で撒き、天日で乾かした砂から塩分の濃い「鹹水(かんすい)」をつくり、平釜で煮詰めて塩を得る伝統的な塩づくり。いま日本では石川県珠洲市にのみ継承されている。
ポンプで海水をくみ上げる近代的な製塩とは異なり、動力にほとんど頼らず、砂・海水・太陽・火だけで塩をつくります。前半、浜で海水を撒いて鹹水を採る工程を塩浜作業、後半、鹹水を釜で煮詰めて結晶にする工程を釜屋作業と呼びます。夏の日射しと風が最大の道具になるため、晴天の続く夏が最盛期です。
この技法は約500年続くとされ、能登塩田は慶長元年(1596年)に始まったと伝えられます。国は1969年(昭和44年)に「能登の揚浜製塩用具」を重要有形民俗文化財に、2008年(平成20年)には珠洲市・角花家に伝わる「能登の揚浜式製塩の技術」を重要無形民俗文化財に指定しました。さらに2011年、能登地域の「能登の里山里海」が日本で初めて世界農業遺産に認定され、揚げ浜式塩田はその里海の伝統技術のひとつに数えられています。「日本で唯一」ということは、ここが途切れれば技法そのものが消えることを意味します。
2024年の能登半島地震と同年秋の豪雨で、塩田や周辺の設備も被災しました。その後、塩づくりを見学・体験できる奥能登塩田村が2025年4月に年中無休で営業を再開し、隣接する道の駅すず塩田村も再開。作り手による塩づくりと販売も少しずつ戻りつつあります。ただし在庫や営業日、価格は復旧状況や時期で変わるため、来訪・購入の際は各所の公式情報で最新を確かめるのが確実です。
補足:関連語に産直・道の駅・ふるさと納税・世界農業遺産。鹹水(かんすい)は塩分濃度を高めた海水のこと。
AKIYA TAISAKU MODEL JIGYO — ツギノテ。LOCAL 編集部
空き家対策モデル事業とは、NPOや民間事業者等の創意工夫によるモデル性の高い空き家対策の取組に対して国(国土交通省)が直接支援を行い、その成果の全国展開を図る公募事業。応募はテーマ別に受け付けられ、採択は学識経験者等で構成される評価委員会の評価結果を踏まえて、応募提案の中から選定される。
自治体を通した補助ではなく、国が提案者へ直接支援する形をとる点が特徴です。担当は国土交通省住宅局住宅総合整備課(住環境整備室)。年度ごとに募集が行われ、応募先は民間事業者・NPOだけでなく自治体が提案者となる例もあります。
令和8年度の募集では、次の5つに分かれていました。テーマ1=官民連携による独創的な空き家に関する相談対応の充実、テーマ2=空き家に関連する新たなビジネスモデルの構築、テーマ3=新たなライフスタイルや居住ニーズに対応した空き家の活用等、テーマ4=空き家に関する新時代のインフラ整備とAI・デジタルなどの新技術の徹底活用、テーマ5=今後の相続空き家の急増を見据えた実態把握・将来予測を通じた多主体連携による既成住宅地の再編等の試行。1軒単位の活用から住宅地という面の再編までが同じ枠の中に並んでいます。
発表では採択件数だけでなく、テーマ別の応募件数も公表されます。令和8年度は募集期間が4月20日〜5月20日、応募117件(テーマ1:16/2:42/3:30/4:22/5:7)に対し採択36件(同5/11/12/6/2)でした。応募が特定のテーマに偏るため、テーマごとの倍率には差が出ます。ただし審査は倍率ではなく評価委員会の評価によるものなので、応募件数の多寡をそのまま難易度と読み替えることはできません。
補足:テーマ構成・募集期間・支援内容は年度によって変わる。申請を検討する場合は、その年度の募集要領と国土交通省の報道発表(別添の応募状況・評価概要を含む)で確認を。
BLANCHING — ツギノテ。LOCAL 編集部
ブランチングとは、冷凍や乾燥の前に野菜を沸騰水などで短時間加熱して酵素の働きを止める下処理です。兵庫県立農林水産技術総合センターの報告では「酵素の働きを止めるために沸騰水中で茹でて加熱処理すること」と説明され、適切に行うことで解凍後の変色防止や食感・風味の保持に効果があるとされています。
収穫された野菜は、切り取られたあとも呼吸などの生命活動を続けます。酵素はその活動を担う一方で、変色や風味の変化も進めます。冷凍しても酵素の働きは完全には止まらないため、凍らせる前に一度加熱してその働きを断つ、という順序になります。市販の冷凍野菜が長く色を保っているのは、この工程が入っているためです。
ブランチングは食べるために茹でる工程ではないので、必要な時間も別に決まります。一般的な目安は、生野菜を茹でるのに必要な時間の70〜80%程度とされます。ただし最終的な硬さは解凍のしかたに左右されるため、加熱時間だけを固定すると狙いから外れます。
枝豆での検討例では、凍った枝豆を沸騰水中で2分間加熱する急速解凍を前提にした場合、好ましい硬さ(破断荷重3N〜5Nの範囲)になるブランチング時間は5分間だったと報告されています。この試験は兵庫県が育成した黒大豆枝豆を対象としたもので、品種や解凍条件が変われば適切な時間も変わります。
枝豆やそら豆のように収穫後の品質低下が速い野菜は、食べきれない分を生のまま冷凍するより、先に加熱してから凍らせるほうが色と食感を保ちやすいとされます。逆に言えば、冷凍庫に入れる時点で一度火を通しているので、食べるときの加熱は短くて足ります。凍ったものを長く茹でると、二度目の加熱が重なって柔らかくなりすぎます。
補足:出典は兵庫県立農林水産技術総合センター「私の試験研究」(北部農業技術センター 廣田智子)。数値は同報告の試験条件下のもので、品種・解凍方法により変わる。関連語:プライドフィッシュ。
BOSHU TEKISEI KIJUN — ツギノテ。LOCAL 編集部
募集適正基準とは、ふるさと納税(地方税法上の指定制度)の対象自治体として指定を受けるための条件のひとつで、寄付の募集に要する費用の総額を寄付額の5割以下に収めることを求めるルール。返礼品の調達費については別に3割以下という上限が定められており、こちらは「返礼品基準」にあたる。
「募集に要する費用」に何が入るかが要点です。返礼品の調達費だけでなく、返礼品の送料、受領証の発行事務にかかる費用、ワンストップ特例に係る申請書の受付事務にかかる費用、職員の人件費、そしてポータルサイト運営事業者への支払い費用までが合算されます。令和5年10月から、これらを合計した額が寄付額の5割以下でなければならないことが明確化されました。
混同されやすいのですが、この2つは別々の上限です。返礼品そのものは3割以下、返礼品を含めた募集の総費用が5割以下。したがって返礼品を上限いっぱい(3割)まで使うと、送料・事務費・人件費・サイトへの支払いのすべてを残りの2割の中に収める必要があります。逆にいえば、返礼品の調達費を抑えれば、それ以外に回せる幅は広がります。3割はあくまで上限であって、そこまで使う義務があるわけではありません。
2026年2月20日に閣議決定された地方税法改正案では、この募集経費の上限を段階的に引き下げ、2029年に4割未満とする方針が示されました。自治体が使える分は寄付額の6割以上になる、という説明です。返礼品の3割上限に変更はないとされています。あわせて、費用の使途を公表する扱いや、指定取消期間を現行の2年から3年以内に延ばすことなども含まれています。
補足:割合の水準・施行の刻み・公表の様式は、改正法の施行に伴う告示や通知で具体化される。実務で確認する際は、その年度の総務省告示および「ふるさと納税制度における各指定基準の遵守の徹底について」等の通知にあたるのが確実。
BOTCHI-ZUMI — ツギノテ。LOCAL 編集部
ぼっち積みとは、掘り取って畑で干した落花生の株を円筒状に積み上げ、1〜2か月間風に当ててゆっくり自然乾燥させる千葉県の乾燥法のことです。この円筒状に積み上げたものを「ぼっち」といい、千葉県は「千葉県ではおなじみの晩秋の風景です」と説明しています。
順番があります。掘り取った落花生は、まず3〜5株をひとまとめにして根を上にして立て、畑で1週間ほど干します。これを地干し(じぼし)と呼びます。地干しが終わってから円筒に積み替えるのがぼっち積みで、ここで1〜2か月かけて水分を抜いたあと、莢だけを外して出荷します。
千葉県は、県産落花生について「畑でゆっくりと自然乾燥された千葉県産落花生は、味の良さで消費者の強い支持を得ています」としています。機械で一気に乾かすのではなく、収穫の後に一、二か月を置く前提で流通が組まれているということです。国内の落花生流通量は9割が外国産で、国内産は約1割、そのうち約8割が千葉県産にあたります。
ゆで豆用の品種(郷の香・おおまさり)は、地干しもぼっち積みもせずに、生さやのまま流通します。乾かしていないので煎ることはできず、茹でるための豆になります。千葉県の資料では、生さやの主な販売期間は8月中旬から10月中旬頃までで、品質低下を防ぐため収穫当日に洗浄・選別を行い、時間を空けずに出荷または加工することが望ましいとされています。同じ作物で、乾かす側と乾かさない側に工程が分かれている形です。
補足:地干し・ぼっち積みの日数は品種や年の天候によって異なる。ここに記した内容は千葉県「落花生|旬鮮図鑑」および千葉県農林総合研究センター落花生研究室「ゆで豆用落花生の生産と流通」にもとづく。関連語:土用干し、予措。
BOUKEAMI — ツギノテ。LOCAL 編集部
棒受網(ぼうけあみ)とは、サンマが光に集まる習性を利用して集魚灯で船べりに誘導し、水中に張った網ですくい上げる漁法です。日本のサンマ漁獲量の95%以上は、大臣許可漁業である北太平洋さんま漁業のもとで、この漁法によって漁獲されています。
日本のサンマ棒受網漁業は1950年代に急速に発展し、漁獲量が急増しました。1970年代は変動の大きい時期がありましたが、1980年代後半以降はおおむね20万トンから30万トンの範囲で比較的安定して推移します。減少に転じたのは2010年以降で、2022年の漁獲量1.8万トンは、棒受網漁業が普及した1960年代以降でもっとも低い値でした。2025年は6.5万トンまで戻り、この年は全漁業国・地域の中で日本の漁獲量が最多(39%)となっています。
漁期は8月から12月。漁場は8月に千島列島から道東海域で形成された後、日本列島東岸を南に移動し、10月には三陸海域、11月中旬から12月には常磐海域まで達します。サンマは親潮という冷水の南への張り出しに沿って南下するため、親潮が道東沿岸に発達する年は漁場が沿岸に、沖合を中心に発達する年は漁場が沖合に形成され、排他的経済水域の外の公海まで広がることもあります。2010年以降は再び沖合の親潮に沿って漁場が形成されるようになりました。
北太平洋のサンマは高度回遊性魚類として北太平洋漁業委員会(NPFC)の資源管理の対象になっています。公海の漁獲可能量(TAC)は2019年の合意時点で33万トンでしたが、その後の年次会合で繰り返し削減され、2026年の公海TACは11.54万トンと定められました。2025年時点で日本のほか、ロシア、台湾、韓国、中国、バヌアツがサンマを漁獲しており、このうち台湾・中国・韓国・バヌアツは公海のみで操業しています。
補足:数値は水産研究・教育機構「2026年度 サンマ長期漁海況予報」(2026年7月28日公表、7月29日資料差し替え)の補足資料にもとづく。漁獲量・TAC・操業国は年によって変わる。関連語:プライドフィッシュ、利き鮎。
CHIEF AI OFFICER — ツギノテ。LOCAL 編集部
CAIOとは Chief AI Officer の略で、日本語では最高AI責任者と訳されます。組織のなかでAIをどう使うか、どこまで使わないかを決め、そこで生じるリスクの管理について最終的に判断する責任者です。自治体では、総務省の「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ」が2025年7月の報告書で設置を示したのを受けて、実際に置く団体が出てきました。
生成AIは、部署ごとに勝手に使いはじめられる道具です。文案づくり、議事録の下書き、問い合わせへの回答案。どれも既存の業務の内側で完結するため、全庁の合意を待たずに広がります。広がったあとで、誤った出力をそのまま住民に出してしまった場合に誰が答えるのか、個人情報を含む文書を入力してよいのかが問われます。CAIOは、この「誰が決めたのか」を先に埋めておく役職です。総務省の報告書も、AIの利活用とリスク管理における責任者の明確化が必要だとして、国と同様に自治体にもCAIOの設置が考えられる、と記しています。
CAIOは庁内で決裁できる立場の人が担い、CAIO補佐官は専門的な知見の側から支える役割です。報告書は補佐官について、共同設置での確保等が考えられるとしています。公表されている例では、責任者は首長や自治体DXの既存責任者(CDO)が兼ね、補佐官は庁内の職員から選ぶ形と、外部の民間人材に委嘱する形に分かれています。
| 役職 | 担う人 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| CAIO(最高AI責任者) | 首長、CDOなど庁内で決裁できる立場 | 全庁的な推進、旗振り、リスク管理の最終判断 |
| CAIO補佐官 | 庁内職員、または外部の専門人材 | 技術・法務の知見からの助言、規程やガイドラインの整備支援 |
福島県磐梯町が2025年9月1日付で、全国の自治体で初めて設置したと公表しています。CAIOは町のCDOが兼任し、補佐官は職員等から複数選任するとしています。宮崎県都城市は同じ2025年9月に、池田宜永市長がCAIOに就任し、補佐官には民間企業の生成AI開発責任者を任用したことを公表しました。福岡県直方市は2026年5月1日付でCAIOを新設し、同年5月18日に補佐官の委嘱状交付式を行っています。総務省は2026年(令和8年)7月、自治体DX推進参考事例集を改訂し、CAIO・CAIO補佐の設置等の体制整備に関するページを加えました。
役職を置くこと自体に大きな予算は要りません。実際に何が変わったかは、AI活用に関する規程やガイドラインが整備・改正されたか、職員研修が組まれたか、調達や利用の申請経路が一本化されたか、といった後続の動きで確かめられます。都城市は設置とあわせて、令和5年制定の「生成AI活用規程」を、生成AIに限定しない「AI活用規程」へ改正しています。
出典:総務省「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ報告書」(令和7年7月)/総務省「自治体DXの推進」(自治体DX推進参考事例集・令和8年7月改訂の記載)/磐梯町「最高AI責任者(CAIO)を設置しました」/都城市「CAIO(最高AI責任者)および CAIO補佐官を設置します!」。設置状況は各団体の公表分のみで、全国の設置数を網羅したものではありません。
CASHLESS POINT REBATE PROGRAM — ツギノテ。LOCAL 編集部
キャッシュレス決済ポイント還元事業とは、自治体が地域内の消費喚起のために期間を区切って実施する、コード決済等での支払いに対してポイントを還元する事業。自治体が主催し、決済事業者は業務委託を受けて運営に協力する形が一般的で、還元率・付与上限・対象店舗の線引きは自治体側が設計する。
PayPay株式会社は2020年7月に「あなたのまちを応援プロジェクト」として自治体との連携を始め、以降は約500自治体で延べ1,100を超えるキャンペーンを実施したとしています。同社の公表資料には、施策は各自治体が主催する取り組みであり、同社は自治体等から業務委託を受けて運営に協力している旨が毎回注記されています。制度の設計と説明責任は自治体側にある、という関係です。
告知で大きく出るのは還元率ですが、実際に手元へ戻る額を決めているのは1回あたりと期間あたりの付与上限です。上限を還元率で割り戻すと「いくらまでの支払いが満額の対象になるか」が出ます。2026年8月以降に始まるものとして公表された7件では、同じ最大20%でも1回の上限が鹿児島県枕崎市の6,000ポイント(1回3万円の支払いに相当)から、秋田県由利本荘市の一般店1,000ポイント(同5,000円)まで6倍の開きがありました。上限が低く期間が長い設計は日用品の買い物を薄く広く拾い、1回の上限が高い設計はまとまった支出まで対象に含みます。
由利本荘市は一般店を最大20%、大型店を最大5%と分け、期間の上限は両者を合算する形にしています。埼玉県朝霞市は対象を市内の中規模・小規模の加盟店に限定しました。いずれも還元が大型店に集中することを避ける形と読めます。一方で対象は自治体と決済事業者が指定した加盟店に限られるため、加盟していない店は対象外になります。
効果検証をどこまで公開するかは自治体によって異なります。東京都練馬区は、キャッシュレス決済ポイント還元事業について令和5年度以降の各回の調査報告書を区のサイトで公開しており、参加店舗へのアンケートを含む事後の調べを実施のたびに残しています。実施回数が第5弾・第6弾と積み上がっている自治体もあり、単発の緊急措置として始まった枠組みが繰り返し使われる状態になっています。次の回を実施するかどうかを前回の記録の上で議論できるかは、この公表の有無に左右されます。
補足:還元率・期間・付与上限・対象店舗は自治体ごとに異なり、変更または早期終了の可能性がある。実施の詳細は各自治体および決済事業者のキャンペーンページで確認すること(2026年8月時点)。
CHIHO-SOSEI — ツギノテ。LOCAL 編集部
地方創生(chiho-sosei)とは、人口減少に歯止めをかけ、地域の活力を維持・向上させることを目指す一連の政策・取り組みの総称。
東京一極集中と地方の人口減少という課題に対し、国と自治体が連携して進める幅広い施策の枠組みです。単発の事業ではなく、仕事・人・暮らし・まちを束ねて地域の持続性を高めようとする、中長期の政策思想として位置づけられます。
大きくは、仕事づくり、地方への新しい人の流れの創出、結婚・出産・子育ての希望をかなえる環境づくり、時代に合った安心な暮らしを守るまちづくりといった方向で語られます。近年はこれに加えて、地域の資源を生かして自ら収益を生む「稼ぐ地域」づくりや、移住に至らずとも地域を支える関係人口の創出が重視されるようになりました。総合戦略として目標や施策を体系立てて示す点が特徴です。
課題としてよく挙げられるのが、国の交付金頼みから抜け出し、成果と持続性で評価する運用へどう転換するかです。事業の効果を測る指標づくりや、ある地域でうまくいった事例を別の地域でも再現できるのかという問いが問われています。数値目標の達成そのものが目的化しないよう、住民の実感に根ざした設計が求められます。近年は、行政だけでなく企業や住民、大学などが担い手として加わる連携のあり方も、成果を左右する要素として重みを増しています。
補足:「地方創生2.0」のように枠組み自体も更新される。制度や交付金の要件は改正で変わるため、最新は内閣官房・総務省など一次情報での確認を。
CHIIKI-KASSEI-KIGYONIN — ツギノテ。LOCAL 編集部
地域活性化起業人(chiiki-kassei-kigyonin)とは、都市部の企業に在籍したまま地方自治体へ派遣され、その専門知識やノウハウを使って地域活性化に取り組む人を指す総務省の制度。
移住して地域おこし協力隊員になる、という関わり方とは別に、企業に籍を置いたまま「出向」に近い形で地方の現場に入るのがこの制度です。企業側にとっては人材の地域貢献活動、自治体側にとっては都市部の専門性を期限つきで取り込める手段という、双方にメリットがある仕組みとして位置づけられています。
地域おこし協力隊が個人の移住・定住を軸にした制度であるのに対し、地域活性化起業人は企業と自治体の間の人材循環を軸にしています。総務省の発表では、2025年度に活動した人数は1215人で、初めて1000人を超えました。地域おこし協力隊の8196人と比べると規模は小さいものの、企業に所属したままという参加のしやすさから、今後の伸びしろがある制度として注目されています。
特別交付税による財政支援があり、自治体側の負担を抑えながら都市部人材を受け入れられる仕組みになっています。企業側の社員にとっては、本業を離れずに地域課題の現場を経験できる点が特徴です。地域おこし協力隊との違いを理解しておくと、自治体の人材施策のニュースを読み解くときに役立ちます。
補足:数値は総務省「令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等」(2026年4月24日発表)による。関連語に関係人口。
CHIIKI-MIRAI SENRYAKU — ツギノテ。LOCAL 編集部
地域未来戦略とは、2026年(令和8年)7月21日に閣議決定された、産業政策に重心を置く国の地方戦略。地方に大規模な投資を呼び込み、各地に産業クラスターを戦略的に形成することで「強い地域経済」の構築を目指す。法的には、まち・ひと・しごと創生法第8条の総合戦略として策定された「地方創生に関する総合戦略」(2025年12月23日閣議決定)の変更にあたり、計画期間は2030年度まで。
同じ日に閣議決定された「日本成長戦略」と対になる戦略で、目標には「47都道府県のどこに住んでいても、安全に生活することができ、必要な医療・福祉や質の高い教育を受けることができ、働く場所がある社会」の実現を掲げます。推進体制は2025年11月11日の閣議決定で設置された地域未来戦略本部が担い、それまでの「新しい地方経済・生活環境創生本部」(地方創生2.0)から掛け替えられました。「地方創生2.0基本構想」(2025年6月13日閣議決定)の内容は「踏まえつつ進める」とされています。
柱は3類型の計画です。A=戦略産業クラスター計画は、AI・半導体、造船、航空・宇宙など17の戦略分野に関連する企業の大規模投資を起点に、国が前に出てインフラ整備や人材育成を進めるもの。B=地域産業クラスター計画は、都道府県知事が主導し、海外輸出や国内上位シェアを狙う産業を重点育成するもの。C=地場産業成長プランは、市町村または都道府県が、農林水産業・食品加工業・観光・伝統的工芸品など地域資源を活かした産業の成長を図るものです。投資は新設の『「強く豊かな日本」投資枠』も活用し、既存予算とは別枠で進めるとされます。関連して、交付金も「地域未来交付金」に改められています。
各計画には最終年度の目標値(KGI)とKPIの設定が求められ、AとBのKGIは官民設備投資額・産業ニーズに即した人材育成数・付加価値増加額の3点が必須です。BとCの要件には「KPI未達時の撤退基準を設定していること」が明記され、戦略産業クラスター計画は半年に1回程度の進捗確認と公表、各地域の投資状況を可視化する「国内投資マップ」の定期改訂も定められました。あわせて、地方をAIトランスフォーメーション(AX)の「始まりの場所」とする方針も書き込まれています。
補足:戦略・交付金の内容は予算編成や年度で変わる前提で、最新の一次情報(内閣官房・地域未来戦略本部、内閣府地方創生サイト)で確認を。各自治体には本戦略を勘案して地方版総合戦略を策定する努力義務が置かれている。
CHIIKI-OKOSHI-KYORYOKUTAI — ツギノテ。LOCAL 編集部
地域おこし協力隊(chiiki-okoshi-kyoryokutai)とは、都市地域から過疎地域等へ住民票を移し、一定期間そこに住んで地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る総務省の取組。
総務省の資料は、この取組を「都市地域から過疎地域等に住民票を異動し、一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援、農林水産業への従事、住民の生活支援などの『地域協力活動』を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組」と説明しています。人手を借りる仕組みであると同時に、住む人を増やすことを目的に据えた仕組みでもある、という二重の性格がこの一文に表れています。
令和7年度の隊員数は8,196人で、前年度から286人増えて過去最多となりました。受け入れている自治体は1,187団体で、受入可能な1,461団体の約81%にあたります。都道府県別では北海道が1,374人と最も多く、長野県477人、島根県386人、福島県351人、岩手県348人が続きます。年齢構成は20代が33.6%、30代が30.1%で、あわせて6割を超えます。男女比は男性59.7%・女性40.3%。着任前に地域を短期間体験する「おためし地域おこし協力隊」の参加者は令和7年度に1,450人、インターンは1,414人でした。
任期はおおむね1年以上3年以下で、この制度を評価するうえで注目されるのは任期終了後の動きです。令和2年4月1日から令和7年3月31日までの直近5年間に任期を終えた8,762人のうち、6,163人(70.3%)が同じ地域に定住しました。内訳は活動地と同一市町村内が5,038人、近隣市町村内が1,125人です。他の地域へ転出した2,013人のうち228人は、活動地と関わりのある地域協力活動等に従事しているとされ、転出がそのまま関係の終わりを意味するわけではありません。同一市町村内に定住した5,038人のなりわいは、起業が2,296人(45.6%)、就業が1,753人(34.8%)、就農・就林が583人(11.6%)、事業承継が70人(1.4%)でした。
補足:数値は総務省が令和8年4月24日に公表した「令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等」による。定住状況の調査時点は令和7年5月1日。定住率は都道府県によって差があり、全国値をそのまま個々の地域に当てはめることはできない。関連語に関係人口・移住支援金・地域活性化起業人。
CHIIKIBETSU-SAITEI-CHINGIN — ツギノテ。LOCAL 編集部
地域別最低賃金(chiikibetsu-saitei-chingin)とは、最低賃金法に基づき都道府県ごとに定められる賃金の下限。産業や職種を問わず、その県で働くすべての労働者と使用者に適用される。
金額は全国で一律ではなく、47の都道府県ごとに1つずつ定められています。使用者はこの額以上の賃金を支払う必要があり、時給だけでなく月給や日給で働く場合も、時間あたりに換算してこの額を下回ることはできません。
改定は毎年夏に動きます。まず厚生労働大臣の諮問を受けた中央最低賃金審議会が、引き上げ額の「目安」を答申します。目安は都道府県の経済実態に応じて全都道府県をA・B・Cの3ランクに分けて示され、令和8年度はAランク(埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪の6都府県)が54円、Bランク(28道府県)とCランク(13県)が56円でした。
目安はそのまま決定になるわけではありません。各都道府県に置かれた地方最低賃金審議会が、目安を参考にしつつ地域の賃金実態調査や参考人の意見を踏まえて審議し、答申を出します。最終的に金額を決定するのは各都道府県労働局長です。目安と違う額を答申することもでき、令和8年度は宮城が目安を4円上回る60円の引き上げ(1,098円)を、三重が目安どおり56円の引き上げ(1,143円)を、いずれも8月5日に答申しています。
改定後の額が効力を持つ日(発効日)も県ごとに決まります。10月1日前後が多いものの一斉ではなく、たとえば宮城の令和7年度の発効日は10月4日でした。答申のあとには異議申出の公示などの手続きが残っており、それを経て正式に決定されるため、額も発効日も答申の段階では「予定」にあたります。
補足:仮に令和8年度の目安どおりに全県で引き上げが行われた場合の全国加重平均は1,176円(上昇額55円・4.9%)と試算されている(厚生労働省・2026年7月28日発表)。昨年度の上昇額は66円・6.3%だった。このほか、特定の産業について地域別最低賃金より高い額を定める「特定(産業別)最低賃金」が別に存在する。
COMMMMONS — ツギノテ。LOCAL 編集部
COMmmmONSとは、国土交通省が令和7年度に始動した地域交通DX推進プロジェクト。モビリティに関するサービス・データ・マネジメント(政策)・ビジネスプロセスの4つの柱について、連携・協働を進めるべき範囲を「協調領域」と定義し、相互運用性を確保するための仕様書やオープンソースなどの技術的アセットを国が作って公開する取組。
名前のとおり「共有地(commons)」の考え方に立っています。各社が自分のところだけで作り込むのをやめ、みんなが同じ土台に乗る部分を国が用意する、という役割分担です。「協調領域」とは、競争して差をつけるところではなく、そろえたほうが全体の得になる範囲、という意味の言い方です。
国土交通省「交通空白」解消本部の取組方針2026は、地域交通の現状をこう説明しています。ダイヤ編成、車両運行管理、予約・配車、運賃収受、運行実績管理といった業務が、事業者ごと、さらには事業者の中の業務単位ごとに別々のシステムで動いており、相互につながっていない。この結果、取得されているデータが事業者の内部でも十分に活用されず、地域全体として輸送の需要と余力を見渡すことが難しくなっている、というものです。
つながっていないと何に困るのか。同じ資料は、事業者間や分野をまたいで組もうとしたときに、データの形式や仕様が統一されていないため情報共有や調整のコストが高止まりする、と書いています。スクールバスや病院・商業施設の送迎を含めて車両を融通し合う「地域輸送資源のフル活用」を進めようとしても、そこで止まる。仕様をそろえるのは、その手前の工事にあたります。
取組方針2026が挙げているのは3つです。データを使って地域公共交通計画をつくるのを支える標準的なデータ分析技術の開発。事業者ごとに個別最適化されているデータを地域単位で統合できるようにするための、モビリティデータ仕様の標準化。そして複数事業者が連携してデマンドバスのシステムを共通化するための、システム連携仕様の標準化です。
成果物は、システム連携仕様、データ仕様、オープンソーススクリプト、業務要件・システム要件定義などを含む標準ドキュメントとして策定・公開されました。実際の補助事業の申請書では、「デマンドバスシステム連携API標準仕様書」「バス業務標準仕様書」「乗降実績データ標準仕様書(鉄道・バス)」といった名前で参照されています。
令和8年度の「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」地域交通DX推進タイプでは、2次公募の第1次選定に選ばれた5事業のすべてが、この種の標準仕様のいずれかに紐づいていました。たとえば会津地域の共通予約基盤の事業は、デマンドバスシステム連携API標準仕様書に準拠した共通APIの層を新規に作り、別会社の2つのオンデマンド交通の仕組みにつなぐという組み立てです。仕様が先にあるため、つなぐたびに一から取り決めをしなくてよい、というのが利点として挙げられています。
普及の段階に入っており、国土交通省は令和8年7月31日に「地域交通DX推進プロジェクトCOMmmmONS第2回セミナー」の開催を発表しました。案内には「COMmmmONSの本格的な普及・実装に向けて」と付けられています。
補足:公開されている仕様書の一覧や版の更新状況は国土交通省の公表資料で確認する必要がある。仕様に準拠したからといって事業者間の合意や費用負担の問題が自動的に解けるわけではなく、そこは各地域の調整に残る(2026年8月時点)。
DENPA OFF — ツギノテ。LOCAL 編集部
電波オフとは、電波望遠鏡の近くで携帯電話・スマートフォン・Wi-Fiなどの電源を切ること。国立天文台野辺山は見学者への案内で「アンテナの近くでは、電波オフをお願いしています(携帯電話、スマートフォン、wi-fiなど)」と明記し、別の案内では「宇宙からの非常に微弱な電波を観測しております。観測に差し支えるため来所の方には、携帯電話、無線LAN機能付きパソコンの使用を制限しております」としている。
マナーの話ではなく、観測の条件の話です。電波望遠鏡が受け取ろうとしているのは、天体から届く非常に弱い電波です。すぐ近くで人間の機器が電波を出せば、その分だけ観測に混ざります。だから見学者にも協力が求められます。
訪ねる側からすると、これは「持ち物と行程の前提が変わる」という意味になります。地図アプリで現地を歩き回る、着いてから調べる、待ち時間に連絡を取る。そういった動き方が想定できない区間があるということです。行き方・帰りの列車の時刻・見学コースの順路は、通信が使える場所で先に確認しておくのが確実です。
国立天文台野辺山では、あわせて構内でのドローン使用を禁止しています。理由として挙げられているのは、電波における観測環境の維持と、見学者の安全です。場内は禁煙で、ペットは入場できるものの展示棟には入れません。撮影は見学撮影・取材撮影・商用撮影の3つに分かれ、種類によって必要な手続きが異なります。
野辺山高原が観測地に選ばれた理由にも同じ発想があります。観測所の説明では、標高1,350mで水蒸気量が少なく、まわりを山に囲まれた平坦な地形で、寒冷地でありながら雪が少ないことが条件として挙げられています。静かな電波環境は、地形と気候と、そこを訪れる人の協力で成り立っているということになります。
見学そのものは毎日8:30〜17:00・入場無料・予約不要で、所要は約1時間が目安です(12月29日〜1月3日は休業、気象警報が出ている場合は中止)。ルールは更新されることがあるため、出かける前に公式ページを一度見ておくのが確実です。
補足:引用と条件は国立天文台野辺山「見学」および「施設見学(一般公開)」、「国立天文台野辺山について」による。関連記事:日本一高いJR駅から天文台まで、徒歩40分。野辺山の足は4つあって、平日と休日で違います。
STAYING TOGETHER — ツギノテ。LOCAL 編集部
同伴避難(どうはんひなん)とは、災害時に飼い主とペットが避難所内の同じ場所(同じ部屋など)で過ごすこと。避難所まで一緒に避難し、着いてからは別の場所で過ごす「同行避難」と区別される。多くの自治体は同行避難を原則とし、同伴避難は専用の避難所を設ける形で限定的に扱う。
行政の文書では、この2語がほぼ必ず並べて説明されます。北九州市は「同行避難とは、一緒に避難し、原則、飼い主とペットは避難所内の別々の場所(専用の区画など)で過ごすこと」「同伴避難とは、一緒に避難し、飼い主とペットが避難所内の同じ場所(同じ部屋など)で過ごすこと」と定義を2つ並べています。読み分けの鍵は「一緒に避難する」のか「一緒に過ごす」のかで、多くの自治体が原則としているのは前者です。
避難所には動物アレルギーのある人や動物が苦手な人もいるため、人の居住スペースとペットの飼育場所を分けるのが基本的な考え方になっています。千葉市は「避難所の同じスペースでペットと同居して生活することは、原則として認めていません」と書き、大阪市は「避難所等において飼い主とペットが同一の空間で過ごすことを意味するものではありません」と、同行避難の定義そのものに否定形を含めています。「ペットと一緒に避難できます」という案内を、同じ部屋で寝られる意味だと読んでしまうと現地で食い違うため、行政はこの2語を分けて使います。
同伴避難を認める場合、通常の避難所とは別に専用の施設を用意する運用が見られます。北九州市は到津の森公園 子どもホールの1か所を、警戒レベル3以上が発令されて予定避難所が開いた後に避難生活が長期化する場合などに開く二次的な避難所として位置づけており、そこへ直接避難することはできません。福岡市は試行として2か所を設け、東部動物愛護管理センターが4世帯まで、家庭動物啓発センターが6世帯までとしています。1世帯あたりテント1張(約4平方メートル)と駐車場1台分で、事前予約が必要です。受入世帯数を数字で示す市がある一方、施設の側から数を示していない市もあります。
補足:堺市は各指定避難所に設ける飼育スペースを「ペット同行避難・同伴避難における」ものと書いており、同伴を別施設に切り出さずに扱っている。用語の定義は自治体ごとの文書に依るため、住んでいる自治体の表記を確かめるのが確実。
DOYOBOSHI — ツギノテ。LOCAL 編集部
土用干し(どようぼし)とは、塩漬けにした梅を夏の土用のころに三日三晩ほど天日に干す、梅干しづくりの仕上げ工程のことです。農林水産省の「農産物漬物の日本農林規格」では、梅干は「梅漬けを干したもの」と定義されており、この干す工程を経てはじめて「梅干」と呼ばれます。
「土用」は立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前の約18日間を指しますが、梅の土用干しで使われるのは夏の土用です。2026年の夏の土用は7月20日から8月6日にあたります。梅雨が明けて晴天が続きやすい時期であることが、この時期に干す実際的な理由とされています。
日中の日光には、実に残った余分な水分を飛ばして保存性を高める働きと、紫外線と熱による殺菌の働きがあります。一方、多くのつくり手が夜もざるを外に置いたままにするのは、夜露に役割があるためです。日中に水分が抜けると梅の表面に塩が白い結晶となって浮き出てきますが、それを夜露が溶かしてふたたび実へ戻していく。この往復によって皮と果肉がやわらかくなっていくと説明されています。
三日三晩という数え方は古くからの目安で、梅の大きさ・天候・湿度によって加減されます。また、衛生面や虫、突然の雨を避けて夜は取り込むという流儀も広く行われており、夜露に当てるかどうかは家や産地によって考え方が分かれます。干し上がった梅は、梅酢に戻す・そのまま容器に詰めるなど、これも仕上げ方が分かれます。
補足:土用の期間は年により異なる。干し方・日数・夜露の扱いは地域や家庭の流儀によって差があり、ここに記した内容は一般的な説明にもとづく。関連語:委託販売。
ENKAKU TENKO — ツギノテ。LOCAL 編集部
遠隔点呼(enkaku tenko)とは、運行の前後に行う点呼を、対面ではなくカメラ・機器・システムを介して離れた場所から行う方法。点呼を行う人が車庫にいなくてよくなるため、地域交通では複数自治体の運行管理を1か所に集める前提になる。
点呼は、ドライバーの体調・疾病・疲労・飲酒の有無などを運行の前後に確認し、記録として残す手続きです。人を乗せて走る事業では省けない義務で、確認する側の人が必要になります。ここが、車の数が少ない地域交通ではとくに重く効きます。
1台のために点呼者を置いても、5台のために置いても、必要な人数はほとんど変わりません。運行の朝と夕にその場にいる人が要る、という条件は台数と無関係だからです。したがって車が1桁の事業では、1台あたりの管理コストが大きく膨らみます。公共ライドシェアのように自治体やNPOが運送の主体になる仕組みでは、この負担が自治体の側に直接乗ります。
遠隔点呼が使えると、点呼を行う人は車庫にいなくてよくなります。すると同じ人が、離れた複数の拠点をまとめて見ることも理屈のうえでは可能になります。自治体の共同運行管理が成り立つ土台はここにあり、静岡県が令和8年度に発注した共同運行管理業務の仕様書も「遠隔でのドライバー管理を行い複数の市町で共同利用できる仕組みを構築する」ことを目的に挙げています。
補足:遠隔点呼として認められる要件(使用機器・なりすまし防止・記録の保存方法など)は運送の形態や制度区分によって異なり、改定もされる。実施の可否と条件は所管の運輸支局・国土交通省の告示等で確認する必要がある。
FUKETSU — ツギノテ。LOCAL 編集部
風穴(ふうけつ)とは、溶岩洞や崩れた岩塊のすきまから冷たい空気が吹き出す場所のこと。夏でも数℃までしか上がらないものがあり、電気冷蔵庫のない時代には蚕の卵や種子を貯蔵する「天然の冷蔵庫」として使われた。
一般の鍾乳洞は、地下深くの温度がその土地の年平均気温の付近で落ち着くため、洞内はおおむね10〜20℃台になります。風穴はそれよりはるかに低い温度になることがあり、同じ「涼しい洞窟」でも成り立ちが違います。
風穴は景勝地であると同時に、産業遺産でもあります。群馬県下仁田町の荒船風穴は、明治38年(1905)から大正3年(1914)頃にかけて造られた蚕種(かいこの卵)の貯蔵施設で、3基あわせて国内最大規模の貯蔵能力を持ち、取引先は42道府県から朝鮮半島にも及びました。世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産のひとつです。冷やす技術がない時代に、地形が持つ性質を見つけて産業の側に取り込んだ例といえます。
山梨県富士河口湖町の富岳風穴は青木ヶ原樹海のなかにある溶岩洞で、公式サイトは平均気温3度と案内しています。こちらも昭和初期まで蚕の卵の貯蔵に使われ、国の天然記念物に指定されています。夏でも溶けない氷柱が残る点は、地下の「平均気温」だけでは説明できない冷え方の証拠です。なお風穴は山中の史跡・自然物であることが多く、獣の出没や天候で見学の可否が変わります。訪ねる前に自治体・施設の公式のお知らせを確認してください。
補足:荒船風穴の記述は下仁田町「世界遺産『荒船風穴』」および「荒船風穴の見学について」(2026年7月15日更新)、富岳風穴の記述は同施設公式サイトによる。関連記事:洞窟の気温は、その土地の年平均気温とほぼ同じ。全国6か所で検算すると、法則から外れる場所がある。
FURUSATO-JUMIN-TOROKU — ツギノテ。LOCAL 編集部
ふるさと住民登録制度(furusato-jumin-toroku)とは、実際に居住していなくても、特定地域の「ふるさと住民」として登録できる、総務省が設計を進める仕組み。
「移住」という高いハードルの手前で地域と関わる人、いわゆる関係人口を、制度としてすくい上げようとする新しい枠組みです。これまで自治体が独自に取り組んできた登録の試みを、国レベルの仕組みへ引き上げようとする点に特徴があります。
東京圏への一極集中を和らげ、地方への人の流れと地域内の経済循環をつくることが基本的なねらいです。登録した人が継続的に地域を訪れたり、寄付・消費・オンラインでの協力などを通じて関わり続けることで、担い手不足に悩む地域の下支えになると期待されています。移住を最終ゴールとせず、多様な関わり方を許容する設計思想がうかがえます。出身地に限らず、学びや仕事、旅を通じて縁ができた地域とも結べる余地を持たせる方向で検討が進むとされます。
登録の形は固まりました。総務省のガイドライン(Ver.1.0・2026年3月27日)と公式サイト「ふるさと住民登録制度ナビ」(同年7月24日公開)によると、区分は関わりの深さで2つに分かれます。要件なしで誰でも登録できるベーシック登録と、「年3回以上の担い手活動への参加」と「マイナンバーカードを用いた本人確認」を要件とするプレミアム登録(3地域まで)です。プレミアム登録者には交通費・宿泊費の補助や公共施設の住民並み利用といったサポート施策が想定され、年間滞在日数10日以上を基本として自治体が定める要件を満たした長期滞在者は、その旨を登録証に記載できます。登録したこと自体の見返りとして物品を渡すこと(特産品や全国共通商品券の抽選提供など)は禁じられています。
モデル事業は都道府県と市町村の連携モデル7道県、個別市町村モデル21市町村の計28団体で進行中。制度開始は2026年度中、ふるさと住民アプリ(仮称)は年度末リリース予定とされています。運用の細部は実証を経て変わりうるため、確定した事実として扱えるのはここまでです。
補足:島根県海士町などの「ふるさと住民票」が発想の下敷き。※2026年7月18日の初出時、本ページは登録区分を「担い手向け/観光向けの2区分案」と記していましたが、確定した区分はベーシック/プレミアムでした(2026年8月7日訂正)。最新は総務省の公表資料など一次情報で確認を。
FURUSATO-JUMINHYO — ツギノテ。LOCAL 編集部
ふるさと住民票(furusato-juminhyo)とは、島根県海士町などの自治体が独自に運用してきた、地域と関わる人を登録する仕組み。
正式な住民票(住民基本台帳)とは別に、地域とゆるやかにつながる人を「もう一つの住民」として可視化する先行的な試みです。法的な住所や税・行政サービスの根拠となる公的制度ではなく、あくまで自治体が独自に設けた登録の仕組みである点に注意が必要です。
その地域の出身者や応援者、二地域居住者、かつて縁のあった人などを「地域の一員」として位置づけ、継続的な関わりの入口をつくります。登録者には広報や特産品、イベント案内などを通じて関係を保つ工夫がなされることが多く、離れて暮らす人の思いを地域づくりに生かそうとする発想が根底にあります。数の多寡より、関係の質と継続を重んじる取り組みといえます。地域にとっては、離れて暮らす人とのつながりを平時から保っておくことが、災害時の応援や将来の移住・二地域居住の呼び水になりうるという期待もあります。
こうしたローカルの先行例が、国が設計を進める「ふるさと住民登録制度」の発想の下敷きになったと語られます。現場の実践が国レベルの仕組みへ引き上げられていく流れの一例であり、地域発の工夫が政策に反映される回路として注目されます。ただし独自の仕組みである以上、運用の負担や登録者の個人情報の扱いなど、地域が自ら設計・管理しなければならない論点も抱えています。
補足:自治体ごとに運用の目的・登録要件・呼称が異なる。国の制度とは別物なので、詳細は各自治体の情報で確認を。
GAISANKIN — ツギノテ。LOCAL 編集部
概算金とは、JAへ出荷契約した米について、JAグループが集荷の時点で代金の一部を前払いする資金です。「仮渡金」「前渡金」「内金」とも呼ばれます。玄米60キロ(1俵)当たりの金額を、県単位で全農県本部・経済連やJAが決め、その後JA・全農は預かった米を通年で販売し、かかった経費を引いて余剰が出れば「追加払い(精算金)」として生産者に払います。最終的な手取りは、概算金と追加払いの合計で確定します。
概算金と混同されやすいのが「買取価格」です。概算金は販売委託(JAが生産者に代わって売る契約)に対する前払いで、確定した金額ではありません。買取価格は売買(JAが生産者から買い取る契約)そのものの確定価格で、その後の値上がり分は受け取れない代わりに、金額はその場で確定します。相場が上がる局面では委託(概算金)のほうが最終的な手取りが増えやすく、相場が下がる局面では追加払いがほぼ出ないこともあります。同じ産地・銘柄でも、JAごとにどちらの契約を選んでいるかが違うため、報道で見る金額を単純に比べられない場合があります。
県単位で全農県本部・経済連が、産地・銘柄・等級ごとに金額を決めるのが基本の形です。地域によってはJAが独自に生産者概算金を設定します。発表の時期は産地によって異なり、宮崎・鹿児島・熊本・高知など九州・四国の早場米(早期米)は7月ごろから、新潟・北海道・東北・北陸などの主食用うるち米は8月下旬から9月にかけてが中心です。
2026年産の概算金は、主要産地で軒並み前年産を2〜4割下回りました。前年(令和7年産)が記録的な高値だった反動という位置づけで、米穀安定供給確保支援機構が公表するコスト指標(生産段階・玄米60キロ当たり20,535円)を下回る産地も多く出ています。産地別の実額は新米は、去年よりはっきり安い。産地の前払い価格は軒並み2〜4割下落したで整理しています。
補足:概算金は産地・JA・等級によって金額が異なり、確定した最終価格ではない。報道される金額には、全農・経済連が自ら公表した「決定」と、取材で判明した「報道」がある場合があり、対象の銘柄や前年産との比較条件が異なることがある。最新の金額は出荷先のJAで確認するのが確実。
GOKUWASE-MIKAN — ツギノテ。LOCAL 編集部
極早生みかんとは、温州みかんの品種を成熟期の早い順に「極早生・早生・中生・晩生」と分ける分類のうち、もっとも早く成熟するグループを指します。代表品種には日南1号・宮川早生・興津早生などがあります。図鑑や生産者向け資料では収穫期を「9月中旬から10月下旬」とすることが多いですが、産地によってはこれより早く動き始めます。
極早生みかんを紹介する記事の多くは、収穫期を9月中旬から10月下旬としています。日南1号についても、育成地での完全着色は10月上旬とされ、興津早生より2週間以上早く色づく品種だと説明されます。ただし、これは品種としての一般的な目安であり、実際の産地の動きはそれより早いことがあります。宮崎県日南市では、少なくとも2021・2024・2026の3年分の記録を見る限り、収穫はいずれも8月28日から31日の間に始まっています。図鑑の目安より2週間ほど早く、畑のほうが先に動き出す形です。
極早生に分類される主な品種には、宮崎県日南市で発見された「日南1号」(興津早生の枝変わり、1979年発見・1989年品種登録とされる)、福岡県が原産とされる「宮川早生」、そのほか「興津早生」「YN26」「ゆら早生」などがあります。育成地や産地によって糖度・収穫時期にわずかな差があり、同じ「極早生」の中でも品種ごとに個性があります。
極早生みかんは、皮が黄色や橙色に色づく前の、まだ緑がかった状態で収穫・出荷されることが多い品種群です。これは未熟だからではなく、この時期に食べる前提でつくられた実の色とされています。ただし糖度は年の天候によって振れ、生産者が「今年は糖度がやや低め」とコメントすることもあります。酸味が残るのがこの時期ならではの味とされ、季節が進むにつれて色づきとともに酸味が抜けていきます。
補足:ここで紹介した収穫時期・品種名・年ごとの動きは、各産地の一次情報(生産者・JA・地域メディア等)にもとづくもので、産地・年によって差がある。個別の産地・品種の詳しい収穫時期は、出荷元の情報を確認するのが確実。
GOMAGI — ツギノテ。LOCAL 編集部
護摩木とは、祈願の言葉や名前を書いて奉納し、火にくべる木片。京都五山送り火では五山それぞれに受付所が設けられ、納められた護摩木が当日そのまま点火の資材として山上へ運ばれる。
お守りのように持ち帰るものではありません。書いた木が燃えることまでが一連の行為です。だから受付は行事の直前に集中し、「なくなれば早く終了する場合もあります」と但し書きがつきます。
送り火を「見るもの」から「関われるもの」に変える窓口だからです。京都市観光協会の説明によれば、大文字では護摩木に自分の名前と病名を書いて火床の割木の上に載せて焚くと、その病が癒えるという信仰が従来から伝わっています。消炭を持ち帰って粉末にして服すると持病が癒えるとも言われてきました。当日は午後7時から山上の弘法大師堂で灯明がともされ、大文字寺(浄土院)住職らによる般若心経ののち、その灯明を親火に移して一斉に点火されます。納めた木は、その火の中にあります。
受付の場所と期間は山ごとに違い、年ごとに公表されます。2026年の五山送り火では、船形(西方寺駐車場)が8月2日から、鳥居形(嵯峨鳥居本・八体地蔵付近)が8月13日から、大文字(銀閣寺奥八神社境内保存会集会所前)が8月14日から、妙法(地下鉄松ヶ崎駅1番出入口西隣)と左大文字(金閣寺門前)が8月15日から、いずれも16日の日中まで受け付けると案内されています。時間はあくまで予定とされているため、訪ねる前に公式の告知で確認してください。志納の額は公式ページには記載がありません。
補足:記述は京都市観光協会「京都五山送り火『どんな行事?』」および同「京都五山送り火」イベント情報(2026年8月16日)による。関連記事:五山送り火は20時から20分かけて点きます。歩いて2つ追える場所と、その日にできないこと。
GOVERNMENT AI GENAI — ツギノテ。LOCAL 編集部
ガバメントAI(源内・げんない)とは、デジタル庁が内製する政府職員向けの生成AI利用環境。行政実務に特化したアプリを備え、2026年にオープンソースソフトウェア(OSS)として公開された。
「源内」は、デジタル庁が2025年に自庁職員向けに立ち上げ、府省庁へ広げてきた生成AIの利用環境です。名称は「Generative AI(生成AI)」に由来し、江戸期の発明家・平賀源内にもかけられています。よくある対話チャットのような汎用機能だけでなく、国会答弁の作成支援や法制度の調査支援といった、行政の実務に寄せたアプリを束ねている点が特徴です。
2026年度には、全府省庁の約18万人の政府職員を対象とした大規模実証が進められています。あわせて2026年4月には、画面まわりのソースコードや行政実務向けの実装テンプレートなどがOSSとして公開され、商用利用も可能なライセンスで配布されました。これにより、地方自治体や民間事業者が同種のAI基盤をゼロから作り直す重複を避けやすくなる、と説明されています。
OSSとして公開されたのはあくまで“部品と設計図の一部”であり、動く完成品が配られたわけではありません。実際に運用するには、クラウド基盤、参照させる業務データの整備、利用ルール、扱える人材が別途必要になります。デジタル庁自身も、単に道具を配るのではなく「AIを前提に業務を組み直す」姿勢を強調しています。
補足:源内は実証・展開の途中にあり、対象人数・提供機能・OSSの公開範囲は今後変わりうる。詳細はデジタル庁の一次情報を確認のこと。
HIKKOSHI-ONESTOP — ツギノテ。LOCAL 編集部
引越しワンストップサービス(hikkoshi-onestop)とは、マイナンバーカードを使ってマイナポータルから転出届を提出し、引っ越し先の市区町村へ来庁予定を伝えられる全国共通の仕組み。
引っ越しのたびに転出元と転入先の両方の窓口へ足を運ぶ負担を減らすために、令和5年2月6日から全国の市区町村で始まりました。民間の引越しポータルサイトを経由して、電気・ガス・水道などの住所変更とまとめて申し込む経路も用意されています。
マイナンバーカードの電子証明書で本人確認をしたうえで、引っ越す日・新しい住所・引っ越す人・関連手続き・来庁予定などを入力して申請します。転出届はこれで完結し、転出のためだけに窓口へ行く必要がなくなります。一方で、転入届は窓口での提出が必要です。転出届の処理が完了してからでないと転入の手続きができないため、余裕をもって申請するよう案内している自治体が多く見られます。
申請時に入力する来庁予定は、受け取る自治体によって扱いが分かれます。窓口での書類記入を一部省略できるとしている市もあれば、記入も番号札の発券もこれまで通り必要だと明記している市もあります。窓口の時間枠を押さえる予約は、この仕組みとは別に自治体が独自に用意していることがあり、その場合は締切も別に定められています。手続きの前に、引っ越し先の自治体の案内ページで確かめるのが確実です。
補足:制度は全国共通でも、窓口での扱いは自治体ごとに違う。ページの名称に「予約」とあっても、時間枠の確保を意味するとは限らない。
INTERNATIONAL DARK SKY PLACES — ツギノテ。LOCAL 編集部
星空保護区(ほしぞらほごく)とは、米国の民間団体ダークスカイ・インターナショナル(旧・国際ダークスカイ協会/IDA)が2001年に始めた、光害の少ない美しい夜空を守る取り組みを行う地域を認定する国際制度(International Dark Sky Places)。日本語の「星空保護区」は一般社団法人星空保護推進機構の登録商標。
認定では、夜空がどれだけ暗いかに加えて、地域がどんな光害対策をしているかが問われます。代表的なのは、街灯を上方光束率0%(光を空に漏らさず地面だけを照らす)・色温度3000K以下(青白くない暖色)の照明に替えること、看板照明や自販機の明かりを夜の一定時間に消すことなど。区分(カテゴリー)は複数あり、国立公園などが対象の「ダークスカイ・パーク」、市町村などのまとまりが対象の「ダークスカイ・コミュニティ」、市街地に近い場所の「アーバン・ナイトスカイプレイス」などに分かれます。
「あの土地は星がきれい」という言い方は主観に聞こえますが、この制度は、それを世界共通のものさしで裏づけます。同時に、星空保護区の取り組みは「電気を消して真っ暗にする」ことではなく、暮らしの安全を保ちながら、必要のない光を空へ逃がさないという発想に立っています。夜空を守ることが、省エネや生態系への配慮ともつながる点で、地域づくりの一つの形にもなっています。
2026年7月時点で、日本の認定地は4か所です。沖縄の西表石垣国立公園が2018年に日本初(ダークスカイ・パーク)として認定され、次いで東京都の神津島が2020年に認定(暫定ではない正式認定としては国内初、「ダークスカイ・アイランド」の呼称も)。岡山県の美星町(井原市)が2021年にコミュニティ部門でアジア初、福井県の南六呂師(大野市)が2023年にアーバン・ナイトスカイプレイスの区分でアジア初の認定を受けています。世界では250か所あまりが認定されており(2025年時点)、日本の数はまだ限られています。
補足:関連語に光害(ひかりがい)、天の川、観光・関係人口。認定状況・観望会・料金などは変動するため、来訪の際は各地の観光協会・施設および星空保護推進機構の最新情報を確認するのが確実です。
IJU-SHIENKIN — ツギノテ。LOCAL 編集部
移住支援金(iju-shienkin)とは、東京23区の在住者・通勤者が地方へ移住し、就業や起業などの要件を満たした場合に、都道府県と市町村が共同で交付する国の地方創生移住支援事業の支援金。世帯100万円以内・単身60万円以内で、額は都道府県が設定する。
東京一極集中の是正と、地方の担い手不足の解消をねらった制度です。国が枠組みを示し、実施するのは都道府県と市町村。そのため「移住支援金」という同じ名前でも、金額・要件・受付時期は自治体ごとに異なります。
内閣府の説明によれば、対象は移住直前の10年間で通算5年以上(直近1年以上を含む)東京23区に在住または東京圏から23区へ通勤していた人で、移住先は東京圏以外の道府県か東京圏内の条件不利地域。移住後は、道府県のマッチングサイト掲載求人への就業、テレワークによる業務継続、市町村が定める関係人口の要件、起業支援金の交付決定のいずれかを満たす必要があります。金額は世帯100万円以内・単身60万円以内で、18歳未満の子を帯同する場合は1人につき最大100万円が加算されます。ただし「以内」「最大」という表現のとおり、実際の額は都道府県が設定するもので、加算を30万円としている自治体もあります。
申請は転入後1年以内が共通の条件ですが、多くの自治体は年度内の事務処理の都合から独自の締切を置き、年度末には受付を止めます。予算の範囲内で交付されるため、要件を満たしていても予算枠が尽きれば受付が終了します。国の当初予算の成立・交付決定が遅れると、年度が替わっても窓口が開かないことがあります。また申請から3年未満で転出した場合などに全額、3年以上5年未満で半額の返還を求められる返還制度があり、受給額は所得税法上「一時所得」として扱われます。
補足:金額・要件・受付状況は自治体ごとに異なり、年度途中でも変わりうる。申請を検討する際は移住先の市町村へ直接確認したい。
ITAKU-HANBAI — ツギノテ。LOCAL 編集部
委託販売(いたくはんばい)とは、生産者が値付けした商品の販売を店が代行し、売れた金額から手数料を差し引いて生産者に支払う販売方式のことです。農産物直売所や道の駅の直売コーナーで広く使われており、商品の所有権と売れ残りのリスクは売れる瞬間まで生産者に残ります。
店が商品を買い取ってから売る「買い取り販売」と対になる言葉です。買い取り販売では仕入れた後のリスクを店が負うぶん取り分も大きくなりますが、委託販売では店はあくまで販売の代行者で、手数料は15〜20%程度が相場とされます(店により10〜25%ほどの幅があるといわれます)。
最大の特徴は価格決定権が生産者にあることです。市場出荷では競りや相場で価格が決まりますが、委託式の直売所では、育てた本人が手間や出来栄えを踏まえて自分で値札を書けます。一方で、閉店までに売れ残った商品は原則として生産者自身が引き取るため、売れ行きの読みと値付けの腕が収入を左右します。
同じ品目でも棚の値段がばらついている、値札やラベルに生産者名が入っている、閉店近くに生産者が値引きに来る。直売所のこうした風景は、いずれも委託販売という仕組みの表れです。畑から店頭まで中間の流通段階を挟まないため、朝収穫したものがその日のうちに並ぶ鮮度も、この方式の持ち味です。
補足:手数料率・出荷ルール・売れ残りの扱いは店舗ごとの規約により異なる。数値は一般に相場とされる水準であり、契約条件は各直売所の募集要項等で確認したい。
JIBASANPIN KIJUN — ツギノテ。LOCAL 編集部
地場産品基準とは、ふるさと納税(地方税法上の指定制度)の対象自治体として指定を受けるための条件のひとつで、返礼品がその自治体の区域内のものといえるかを判定するルール。地方税法第37条の2第2項第3号および第314条の7第2項第3号に基づき総務大臣が定めるもので、実体は平成31年総務省告示第179号の第五条に置かれている。
第五条は、返礼品として認められる類型を号で並べる作りになっています。区域内で生産されたもの、区域内で製造・加工等の工程を行ったもの、自治体の広報目的で作られたキャラクターグッズやオリジナルグッズなど、性質の違う入口が用意されており、そのいずれかに該当すれば地場産品として扱われます。区域外で採れた材料を持ち込んで加工した品をどこまで自分のまちの産品と呼べるかは、このうち製造・加工型の号の書き方で決まります。
令和7年6月24日に公布された総務省告示第220号は、この第五条第三号を書き替えました。改正前は「区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているもの」でしたが、改正後は「区域内において製造等を行うことにより当該返礼品等の価値の過半が生じているもの」となり、さらに次の2つが要件として加わりました。ひとつは、価値の過半が区域内で生じている旨の証明が、総務大臣の定めるところにより、当該返礼品等の製造等を行う者によってなされていること。もうひとつは、自治体が寄附金の募集を開始する日までに、その証明の内容を公表することです。附則により、第五条の規定は令和8年10月1日以後に開始する期間に係る指定について適用され、同日前に開始した期間に係る指定は従前の例によります。
「相応の」は読む人によって幅が出る語で、「過半」は半分より多いと数で決まる語です。総務省自治税務局市町村税課の概要資料は、改正前の課題として、付加価値の算出方法が地方団体により様々であるために「同じ製品等について複数の団体が自らの地場産品と主張できる」状態にあったこと、真に区域内で付加価値の過半が生じている地場産品か疑義のある事例があったことを挙げ、付加価値割合の算出方法については価格に基づく算出を原則とするとしています。証明を書く主体が自治体ではなく作り手側である点も、改正で明確になった部分です。
同じ概要資料には、疑義のある算出方法の例として数字入りの図が置かれています。海外から6万円で輸入した米国産の高級ワインを倉庫等で保管し、保管で6万円の付加価値が生じたとして返礼品には12万円で納品する一方、一般顧客には8万円で販売しているという並びです。これを受けて、付加価値基準に基づく返礼品については、価値の過半が区域内で生じたことの証明に加えて一般販売価格も証明書に記載し、その内容を公表することとされました。あわせて「合理的な理由なく、一般販売価格より高額で調達することがないようにすること」を別途通知する予定と記されています。
自治体のキャラクターグッズ・オリジナルグッズを扱う第五条第五号も改正されました。改正前は、形状・名称その他の特徴からその自治体の独自の返礼品であることが明白であればよいとされていましたが、改正後はこれに3つの条件が加わります。指定対象期間の初日の属する年の前年の10月1日からその翌年の9月30日までの間に、自治体が広報の目的で自ら調達し配布又は販売を行った実績があること(返礼品等の提供によるものを除く)。指定対象期間においても、広報の目的で自ら調達し配布又は販売を行う計画を定めていること。そして、指定対象期間に返礼品等として提供する数量が、その実績の数量を超えないこと。令和8年10月1日に始まる期間で読むと、実績を数える窓は令和7年10月1日から令和8年9月30日までにあたります。
補足:返礼品の調達費を寄附額の3割以下に収める基準(返礼品基準)や、募集の総費用を5割以下に収める募集適正基準は、地場産品基準とは別の号に置かれた別々の条件である。号の全体像や証明の様式など運用の細目は、総務大臣の定めおよび通知の側で具体化されるため、実務では告示の新旧対照表とその年度の通知にあたるのが確実。
ADVANCE COMMENCEMENT NOTIFICATION — ツギノテ。LOCAL 編集部
事前着手届出制度とは、補助金は交付決定後に事業へ着手するのが原則であるところ、事業の必要性・緊急性に鑑み、事前着手届出書を提出して受理通知を受けた場合には、受理通知の発出日以降かつ当該年度の政府当初予算が成立した日以降に発生した経費についても補助対象経費として認められる場合がある仕組み。
国の補助事業では、交付決定通知の前に行った発注・契約・支出(発注先への内示を含む)は補助対象になりません。年度の前半に交付決定が出る事業では、この原則のままだと、夏の繁忙期に間に合わせたい工事や、季節の決まった実証運行に着手できないことがあります。届出制度は、その時間差を埋めるために置かれた例外です。
届出が受理されても、計画の採択や補助金の交付を約束するものではありません。審査の結果として不採択となった場合、それまでに支出した費用は全額自己負担になります。また、受理日より前に発注等を行った経費は対象外で、受理日以降であっても交付申請時の確認で対象外と判断される場合があります。補助金のルールに沿った手続き(入札、複数見積など)を経ていない経費も認められません。
公募では、通常の申請より早い締切が別に設定されるのが一般的です。観光庁の令和8年度「オーバーツーリズムの未然防止・抑制をはじめとする観光地の面的受入環境整備促進事業」の二次公募では、計画申請の締切が令和8年7月17日12時、事前着手届出制度を活用する場合の書類提出締切は同年7月8日12時とされ、様式1・様式2は暫定版での提出が認められる一方、届出を出した場合でも計画申請の締切までに確定版を提出して申請を完了させる必要があるとされていました。届出の受理の可否は事務局が決定し、受理通知書が送付されます。
補足:制度の呼び方・締切・対象となる経費の範囲は事業ごとに異なる。活用を検討する場合は、当該事業の公募要領と交付規程で確認すること(2026年8月時点)。
KAIKI — ツギノテ。LOCAL 編集部
甲斐絹(かいき)とは、山梨県富士吉田を含む郡内(ぐんない)地方で織られてきた、先染めの薄手で光沢のある絹織物のこと。先に糸を染めてから織り上げる「先染め」の技法でつくられ、江戸時代に全国に知られた。羽織の裏地や傘地などに用いられ、富士吉田が「ハタオリマチ」と呼ばれる織物史の中心にある。
郡内地方は、平安時代の書物に甲斐国の布の記述が見えるほど古い織物の産地で、千年以上の歴史があるとされます。そのなかで江戸時代に評判を高めたのが甲斐絹です。糸の段階で色を染めてから織るため、無地でも玉虫のような深い光沢や繊細な柄が出せるのが特徴で、着物の羽織裏や傘地といった「見えないところ・実用のところ」を彩る布として重宝されました。
富士吉田では、戦後に機(はた)を動かせば動かすほど売れる好況期があり、その勢いは「ガチャマン」と呼ばれたと伝えられます。本町通り周辺のしっかりした店構えは、織物とともに栄えたまちの骨格でもあります。その後、安価な輸入織物の増加などで産地は打撃を受け、機屋(はたや)の廃業が続きました。
現在は、各工場が自社ブランドを立ち上げて直販や工場見学を行い、秋には「ハタオリマチフェスティバル」も開かれています。甲斐絹そのものを日常で見る機会は減りましたが、その技術や産地の蓄積は、ネクタイ地や裏地、インテリア生地などの高密度な先染め織物として受け継がれています。産地全体としての立て直しが続くかどうかは、これから見ていく段階にあります。
補足:呼称・技法の説明は一般的な整理。詳細や現況は富士吉田市観光ガイド・富士吉田織物協同組合など一次情報で確認したい。
KAKANAI-MADOGUCHI — ツギノテ。LOCAL 編集部
書かない窓口(kakanai-madoguchi)とは、来庁者が申請書へ手書きする負担を減らすため、職員の聞き取りやデータ連携で書類を作成する自治体の窓口改善の取り組み。
「役所へ行くと、名前や住所を何枚もの書類に繰り返し書かされる」という長年の負担をなくそうという、自治体DXの代表的な実践です。住民の手続きそのものを起点に業務を見直す、いわば窓口版のサービス改善として広がりつつあります。
職員が住民と対話しながら必要な情報を聞き取って入力し、自治体がすでに保有しているデータを連携させることで、申請書を自動的に作成します。住民は仕上がった内容を画面や紙で確認し、署名するだけで済む形が多く見られます。手書きの工程を減らすことで、記入の迷いや書き間違いを入口の段階から防ぐ狙いがあります。引っ越しや出生、死亡に伴う複数の手続きをまとめて案内する「ワンストップ」の発想と組み合わせられることも多く、来庁者があちこちの窓口を回る手間を減らす効果も見込まれます。
記入ミスや待ち時間の削減、職員による案内の質の向上などが期待されます。一方で、システムの整備・維持にかかるコスト、聞き取りに伴う個人情報の適切な取り扱い、オンライン申請との役割分担といった論点があり、導入すれば自動的に楽になるわけではありません。運用の設計と定着が成否を分けます。
補足:導入効果は自治体の規模や対象業務で差が大きい。他自治体の事例をうのみにせず、再現性を確かめたい。
KAKEI-CHOSA — ツギノテ。LOCAL 編集部
家計調査(かけいちょうさ)とは、総務省統計局が全国約9千世帯を対象に毎月実施している、家計の収入・支出・貯蓄・負債などに関する統計調査です。品目別の支出金額が都道府県庁所在市・政令指定都市別に集計されるため、「◯◯の支出額が日本一のまち」という形で地域の食が話題になるときの、多くの場合の出どころになっています。
調査対象の世帯が家計簿に近い記録を付け、それを積み上げて集計する仕組みです。したがって「買い物として記録されたもの」が数字になります。この性質が、地域ランキングを読むときの注意点をそのまま決めています。
家計調査には細かい品目分類があり、それぞれ何を含み何を含まないかが定められています。たとえば「ぎょうざ」の品目には、スーパー等で売られている生餃子・焼餃子と、餃子のテイクアウト専門店の持ち帰りが含まれる一方、餃子の冷凍食品と中華料理店等のテイクアウトは含まれません。店内で食べる分は、別分類の「外食」の側で扱われます。「消費量」ではなく「支出金額」であること、外食を含まないことは、ランキングを引用するときに落としやすい前提です。
全国で約9千世帯という規模なので、県庁所在市ごとの内訳を支える標本はそれほど大きくありません。単年の数字が前年から動いたとき、それが習慣の変化なのか標本の揺れなのかは切り分けにくい。統計局が品目別の都道府県庁所在市・政令指定都市ランキングを公表する際、単年ではなく3年平均を用いているのは、この事情によるものと考えられます。年ごとのデータも別途公開されており、報道や自治体の発表では単年の順位が使われることが多い点にも留意したいところです。
補足:品目の定義・調査設計は改定されることがあり、ここに記した「ぎょうざ」の線引きは公表資料に示された注記にもとづく。数値や順位を引用する際は、対象年と単年/平均のどちらかを明記したい。関連語:土用干し。
KANKEI-JINKO — ツギノテ。LOCAL 編集部
関係人口(kankei-jinko)とは、移住した定住者でも一時的な観光客でもなく、特定の地域に継続的に多様な形で関わる人々を指す考え方。
「そこに住む」か「一度訪れる」かの間にある、第三の関わり方として、近年の地方創生を語るうえで欠かせない中心概念になっています。地域に定住していなくても、その土地を気にかけ、繰り返し関わり続ける人々をひとまとまりの層としてとらえる視点です。
人口減少が進むなか、いきなり移住してもらうことのハードルは依然として高いのが現実です。そこで、地域に何らかの形で継続的に関わる人を増やすことが、祭りや事業の担い手確保、特産品の消費や情報発信を通じた地域経済の下支えにつながると期待されています。移住・定住だけを成果指標にしない、現実的な発想の広がりでもあります。都市に暮らしながら地方に関わりたいという人々の思いの受け皿になる点でも、時代の空気に合った考え方だといえます。
関わり方は、副業・兼業、二地域居住、地域プロジェクトへの参画、オンラインでの技能提供など多様です。大切なのは「数をどれだけ集めたか」ではなく、一人ひとりの関わりをどう続け、どう深めていくかという設計です。入口をつくるだけでなく、関係が細らないよう継続的に接点を保つ工夫が問われます。関わる人にとっても心地よい距離感を尊重する姿勢が、長い付き合いにつながります。
補足:国はこうした関係人口を「ふるさと住民登録制度」として制度化しようとしている。関連語に交流人口・定住人口。
KIKI-AYU — ツギノテ。LOCAL 編集部
利き鮎(ききあゆ)とは、鮎の塩焼きを獲れた河川の名前を伏せた状態で食べ比べ、評価する方式のことです。高知県友釣連盟が主催する「清流めぐり利き鮎会」の名の由来で、名前を伏せて中身だけで判断する点が、日本酒の利き酒や茶の利き茶と同じ考え方にあたります。
「清流めぐり利き鮎会」は、全国各地の清流が育んだ鮎の塩焼きを、味・見た目・香りなどの基準で食べ比べ、グランプリを決めるイベントです。第26回は2025年9月19日に高知市のホテルで開かれ、21都道府県の57河川から計約2,290匹が集まり、アユ漁の関係者と一般参加者ら約280人が審査にあたりました。参加者は配られた審査用紙に3段階で評価を記入します。
審査は姿・香り・わた・身・総合の5つの要素に対して「優・良・可」の3段階で行われるとされます。「わた」は内臓のことで、鮎は成長すると川の石に付着した珪藻類・藍藻類を主食にするため、腹の中身はその川の石にあったものに近くなります。過去の大会を報じた高知新聞の見出しも「姿・香り・身・わた吟味」と、このうち4つを並べています。
選抜には順序があります。各河川の鮎は、まず一般参加者の各テーブルで審査され、そこで選出された鮎は準グランプリ以上が確定します。その後、最終審査員によって再度審査され、グランプリが決まります。
この方式で特徴的なのは、賞が出品者ではなく河川に与えられる点です。歴代のグランプリ河川には和良川(岐阜・4度)、宇佐川(山口)、安田川(高知)、朱太川(北海道)、千種川と揖保川(兵庫)、雫石川(岩手)、神通川(富山)、物部川(高知)、長良川(岐阜)、振草川(愛知)などがあり、北海道から山口まで分布しています。第26回のグランプリは岐阜県飛騨市の高原川で、出品したのは同市の「もんじろう商店」でした。もっとも、実際に出品して焼くのは店や漁協なので、同じ川の鮎でも焼き手が変われば皿は変わります。
補足:開催日・参加河川数・審査方法・料金は回によって異なり、主催者の発表で変更されることがある。審査5項目と歴代グランプリ河川の一覧はWikipediaの記載にもとづく。関連語:プライドフィッシュ、うちの郷土料理。
KINKYU-JURYO — ツギノテ。LOCAL 編集部
緊急銃猟(kinkyu-juryo)とは、人の日常生活圏にクマ・イノシシが出没した際、安全確保等の条件の下で、市町村が委託した者による銃猟を可能とする制度。
令和7年に成立した「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律」(令和7年法律第28号)によって設けられ、令和7年9月1日に施行されました。それまで、住居の集合している地域等での銃猟は原則として禁じられており、市街地にクマが出た場合の対応は箱わなや追い払いが中心でした。
この制度でいちばん性格が出ているのは、判断の主体が市町村長だという点です。都道府県知事の捕獲許可を待つ従来の手続きに比べて、その場に近い役所が短い時間で決められるようにしたのがねらいで、実際に撃つのは市町村が委託した者になります。迅速さと引き換えに、避難の誘導や周囲の状況の確認といった判断の材料をそろえる時間も短くなるため、実施の前後で何をどう確かめたかは自治体ごとの運用に委ねられる部分が大きくなります。
環境省は、発砲まで至った事例を日時・場所・対象鳥獣の3列の一覧で公表しています。令和7年度(施行日から令和8年3月まで)は60件で、月別では10月11件、11月30件、12月15件、1月1件、2月2件、3月1件と、秋に大きく偏っていました。令和8年度は8月18日更新の版で26件(4月8日の福島県郡山市から8月15日の岩手県山田町まで)。市町村ごとに数え直すと22市町村・11道県で、内訳はツキノワグマ22件、ヒグマ2件、イノシシ2件です。両年度の一覧に名前が出てくる市町村は40と22ですが、両方に含まれるのは仙台市・長岡市・富山市・立山町・鶴岡市・酒田市の6市町にとどまります。なお、この一覧には「環境省が把握する事例に限る」との注記があり、速報の性格の資料であるため数値が変わることがあります。制度が令和7年9月施行のため、令和8年度の4月から8月には比較できる前年同期の数字が存在しない点にも注意が要ります。
日の出前・日没後の銃猟(夜間銃猟)は危険性が高いことから長く例外なく禁止されてきましたが、緊急銃猟として実施する場合は、夜間銃猟に係る認定基準を満たす個人に委託することができます。その基準の一つが、環境省が開催する「夜間銃猟安全管理講習」の修了で、受講には市町村長等からの推薦と第一種銃猟免許が必要です。個人単位の申し込みは受け付けられておらず、推薦元の市町村等を通して申し込む形になっています。
補足:この一覧に載るのは「発砲まで至った事例」だけである。出動したが撃たずに済んだ回数、判断を見送った回数は、この資料からは分からない。
KOEI-TOSEN — ツギノテ。LOCAL 編集部
公営渡船(koei-tosen)とは、自治体が運営し、川や運河で途切れた道をつなぐ渡し船のこと。大阪市では1920年(大正9年)4月の旧道路法施行により、渡船が橋と同じ「道路の一部」と位置づけられて無料となり、現在も8か所の渡船場で15隻が運航している。
渡し船と聞くと観光の乗り物を思い浮かべますが、公営渡船はバスや遊覧船ではなく「道路」の仲間です。川で分断された道を船でつなぐという考え方のため、道を歩くのに料金がかからないのと同じ理屈で、運賃を取りません。乗れるのは歩行者と自転車で、対岸まではおおむね数分です。
大阪では明治24年に大阪府が「渡船営業規則」を定めて民間の渡しを監督し、明治40年には安治川・尻無川・淀川筋の29渡船場が市営になりました。ピークの昭和10年頃には31か所・69隻で、年間の歩行者約5,752万人・自転車等約1,442万台を運んだ記録が残ります。その後、橋の整備や戦災、モータリゼーションで減り、令和6年度は8か所・約161万人。現在の8か所は天保山・甚兵衛・千歳・落合上・落合下・千本松・船町・木津川で、木津川渡船場のみ大阪港湾局、ほかは建設局の管理です。
港湾部の川は大きな船が通るため、架けるなら橋桁の高い橋になり、歩行者や自転車には長い上り坂を意味します。平らな水面を数分で渡る船のほうが日常の移動には合理的で、朝夕はいまも通勤・通学の足として使われています。渡船は点検などで臨時運休することがあり、大阪市の渡船担当はX(旧Twitter)で運航情報を発信しています。
補足:渡船場の数・運航時刻・運休は変わりうる。最新情報は大阪市公式サイト「大阪 渡船場マップ」および渡船担当のXで確認したい。
KOME-KOUJI — ツギノテ。LOCAL 編集部
米麹(kome-kouji)とは、蒸した米に麹菌(アスペルギルス・オリゼー)を繁殖させたものです。麹菌がつくり出す酵素が米のでんぷんを分解して糖に変えるため、砂糖を加えなくても自然な甘みが生まれます。味噌・醤油・日本酒・みりん・甘酒など、日本の発酵食品の多くが米麹を土台にしています。
米に麹菌を植えて数十時間かけて育てる作業は「製麹(せいきく)」と呼ばれ、温度と湿度を細かく見ながら進めます。できあがった米麹には、でんぷんを分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼなど多くの酵素が含まれ、これが原料を甘く・うま味豊かに変えていきます。麹菌は日本の発酵文化に欠かせないことから「国菌」とも呼ばれます。
同じ「甘酒」でも、米と米麹だけを発酵させてつくる米麹甘酒と、日本酒を搾った後の酒粕を溶いてつくる酒粕甘酒があります。米麹甘酒は麹の酵素が生むブドウ糖で甘く、ほぼノンアルコールで砂糖不使用の商品が多いのが特徴です。酒粕甘酒は微量のアルコールを含み、甘みづけに砂糖を加えることが多く、こくのある味わいになります。
甘酒は俳諧では夏の季語で、冷房も冷蔵庫もなかった江戸時代には、夏の暑気払いとして甘酒売りが町を歩いて売っていたと伝えられます。麹の甘酒はアミノ酸やブドウ糖を含み、砂糖の乏しかった時代の手軽な甘味・栄養源でもありました。「飲む点滴」という呼び方は俗称で、糖分を含むため飲みすぎには注意が必要です。
補足:甘酒や麹製品の原料・アルコールや砂糖の有無・栄養成分・保存方法は商品ごとに異なる。健康効果には個人差があり、糖分を含む。購入時はラベル表示と各店・公式情報で確認したい。
KORYU-JINKO — ツギノテ。LOCAL 編集部
交流人口(koryu-jinko)とは、観光やイベントなどで一時的に地域を訪れる人々を指す考え方。
地域とつながる人の数え方には「住む人」「継続的に関わる人」「一時的に訪れる人」という層があり、交流人口はそのうちの「訪れる人」にあたります。観光やイベント、出張などで足を運ぶ来訪者を、地域の活力を測る一つの尺度としてとらえる考え方です。
地域の人口は、実際にそこで暮らす定住人口、移住はしていないが継続的に関わる関係人口、そして観光などで一時的に訪れる交流人口という三層で語られます。観光振興やイベントの誘致は、主にこの交流人口を対象にした取り組みです。三層は対立するものではなく、地域との距離感の違いとして地続きにとらえるのが実態に近いといえます。交流人口が注目されてきた背景には、定住人口を増やすことが難しくなるなかで、外から人が訪れることそのものを地域の元気の指標として位置づけ直そうとする発想があります。
交流人口は増えても、そのまま地域に定着したり深く関わったりするとは限りません。訪れた人をどうやって関係人口へ、さらには定住人口へとつなげていくかが、地域づくりの継続的な論点になります。一過性のにぎわいで終わらせず、次の関わりへ橋渡しする導線づくりが問われます。数の増減だけを追うと、混雑による住民生活への負荷を見落としがちになる点にも注意が要ります。
補足:交流人口の集中が地域への負荷となる状態が「オーバーツーリズム」。関連語に関係人口・定住人口。
TRANSPORT GAP AREA — ツギノテ。LOCAL 編集部
交通空白(transport gap area)とは、日常生活や観光に必要な移動の足がない、または利用しづらい地域を指す国土交通省の用語。地理的な距離だけで判定せず、市区町村が挙げた「困りごと」を基準に数える。
国土交通省は2024年7月に国土交通大臣を本部長とする「交通空白」解消本部を設置し、2025年から全国の市区町村を対象にリストアップ調査を続けています。「地域の足」(住民の生活交通)と「観光の足」(二次交通)の二本立てで数えるのが特徴です。
この言葉のわかりにくさは、駅やバス停からの距離で機械的に線を引かないところにあります。調査が示す考え方は「誰もがアクセスできる移動の足がない又は利用しづらいなど地域交通に係るお困りごとを抱える地域」で、「必ずしも、地理的、空間的な『交通空白』に限らない」と明記されています。鉄道駅から500m圏内でも列車の本数が極端に少なければ該当し、バス停から300m圏内でも坂が多くタクシーの配車も待たされる団地なら該当します。予約が前日までに限られるオンデマンド交通のエリアも、朝夕に配車されなければ挙げられます。
2026年の調査では、何らかの対応が必要な「交通空白」地区は2,740地区で、前年より683地区増えました。増加分には、バス路線の減便・廃止による新規発生と、市区町村が地域公共交通計画の策定・見直しで域内を精査した結果はじめて把握された分の両方が含まれます。国土交通省自身が、リストアップした地区数が多い市区町村を取組の遅れた市区町村と捉えるべきではないと注意を添えています。数が課題の深刻さではなく、把握の精度を映すためです。
補足:いま空白ではないが放置すれば空白化する地域は「要モニタリング地区」として別に数える。2026年の調査では1,498地区で前年より134地区減った。
PUBLIC RIDESHARE — ツギノテ。LOCAL 編集部
公共ライドシェア(public rideshare)とは、自治体やNPOなどが実施主体となり、地域の自家用車と一般ドライバーで住民や観光客を運ぶ仕組み。タクシー事業者が主体となる日本版ライドシェアとは別枠。
バスやタクシーの事業者が撤退した、あるいは走らせても採算が合わない地域で、公共交通の代わりに置かれる選択肢です。運送の責任を負うのが交通事業者ではなく自治体やNPOの側にある点が、この呼び方の要になっています。
混同されやすいのが「日本版ライドシェア」(自家用車活用事業)です。あちらはタクシー事業者が運送主体となり、タクシーが足りない時間帯・地域を一般ドライバーの自家用車で補う仕組みで、都市部の週末の需給ギャップにも使われます。公共ライドシェアは自治体やNPOが主体で、日常の足がそもそも足りない地域を対象にする点が異なります。どちらも「交通空白」の解消手段として国土交通省が挙げていますが、担い手と想定される場面が違います。
実施主体は自治体やNPOなどに限られてきましたが、国土交通省の「交通空白」解消に向けた取組方針2026は、一部事務組合・広域連合・都道府県を追加するための法令改正を、改正地域交通法の施行に合わせて行う方針を示しています。市町村ごとに小さく運ぶのではなく、共同化・広域化して運ぶ形を想定した見直しです。あわせて「公共ライドシェアの実質化等に関するガイダンス」を年度内に作成・公表するとしています。
補足:主体拡大の具体的な法令改正の内容と施行日は、本稿の時点で確定した形では公表されていない。方針に記された予定として扱う。
MUTUAL-AID RIDESHARE — ツギノテ。LOCAL 編集部
共助版ライドシェア(mutual-aid rideshare)とは、道路運送法上の許可・登録を要しない形で、地域の団体や施設が住民・観光客の移動を助け合いで支える取り組み。既存の送迎資源をやりくりして運行する例が多い。
全国自動車移動連絡協議会(全自連)が各地の事例紹介で使う呼び方で、まちづくり団体や商工会、温浴施設などが主体となり、営利目的の運送とはみなされない範囲で人を運ぶ取り組みを指します。新しく許可や登録を取るのではなく、施設がもともと持っている送迎車両の空き時間や、住民同士の助け合いといった既存の資源をやりくりして成り立たせる点が特徴です。
自治体が主体となり、道路運送法第78条第2号に基づく「自家用有償旅客運送」の許可を得て運賃を収受する仕組みは「公共ライドシェア」と呼ばれ、こちらは制度上の位置づけが異なります。共助版は許可・登録の手続きを要しない代わりに、運賃を取らない・区域や時間を絞るといった制約の中で運用されることが一般的です。全自連は「ライドシェア・データ活用・自動運転」を三本柱に掲げており、共助版ライドシェアはその一角を担う、小さく始めやすい選択肢として各地で紹介されています。
長崎県雲仙市では、まちづくり団体や温浴施設などでつくる「うんぜん共創プラットフォーム」が、中学校区をまたぐ子どもの習い事送迎のために共助版ライドシェア「i-Chanうんぜん」を運行しています。使う車両は温浴施設の送迎用マイクロバス1台で、空いている時間帯を充てる形です。奈良県吉野町や静岡県河津町では、桜まつりなどイベント時の観光客・住民の移動を商工会が中心となって支える例も紹介されています。
補足:呼び方や制度上の扱いは地域・運営主体によって幅があり、実証運行の期間や無料・有料の別も個別に確認が必要。
LEVEL 4 AUTONOMOUS DRIVING — ツギノテ。LOCAL 編集部
レベル4自動運転(level 4 autonomous driving)とは、特定の走行環境条件を満たす限定された領域で、システムが運転操作の全部を代替する自動運転の段階。地域交通では路線バスへの導入が各地で進むが、区間や速度は限定される。
自動運転は0〜5の6段階で語られます。レベル4は、決められた条件下であればシステムが運転のすべてを担い、ドライバーが運転席にいなくても走行しうる段階を指します。日本では2023年の道路交通法改正で「特定自動運行」として制度化され、地域交通の分野では、運転手不足に悩む路線バスへの導入が期待されています。
ポイントは「限定された領域(ODD)」という前提です。走ってよい区間、時間帯、天候、速度などがあらかじめ定められ、その範囲の中でのみシステムが運転を担います。だれでもどこでも無人で走れるわけではなく、専用道や特定のルートから段階的に広げていくのが実情です。過疎地の生活の足や、大学・観光地のシャトルなど、ルートが固定しやすい場所から社会実装が進んでいます。当面は安全確認のため運転席に乗務員が同乗する運行形態も多く見られます。
営業運行の認可を取ることと、その路線を続けることは別の問題です。車両や改造の費用、運行を担う事業者の体制、国の補助が続くかどうかが、継続の土台に影響します。実際、国内で先行して営業運行を始めた路線が、その後に運行を休止した例もあります。「導入できたか」より「走り続けられているか」を、導入前後のデータで確かめる視点が欠かせません。
補足:段階の定義や制度は国・時点で異なる。ここでは日本の地域交通での使われ方を中心に整理した。運行状況は変動しうる。
LOCAL-GOV DX — ツギノテ。LOCAL 編集部
自治体DXとは、地方自治体が行政手続、住民サービス、内部業務をデジタル前提で見直し、住民の利便性と持続可能な行政運営を実現する取り組みです。紙を電子化したり新しいシステムを入れたりするだけでなく、手続きや仕事の流れそのものを変える業務改革まで含みます。
紙の申請書をそのままPDFにしただけでは、住民の入力項目や職員の確認作業はほとんど変わりません。自治体DXでは、「住民は同じ情報を何度も書かなくてよいか」「来庁せずに完結できるか」「職員の転記や照合作業が減ったか」と、利用者と現場の結果から設計を見直します。デジタル庁が示すデジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップも、この考え方を具体化した原則です。
| 領域 | 取り組み例 | 目指す変化 |
|---|---|---|
| 住民手続 | オンライン申請、電子交付 | 来庁・待ち時間・記入の削減 |
| 窓口 | 書かない窓口、手続きガイダンス | 同じ情報の再記入や案内漏れを減らす |
| 基幹業務 | 20事務のシステム標準化、ガバメントクラウド | 個別改修の負担を減らし、共通基盤をつくる |
| 庁内業務 | 文書作成・検索・問い合わせへの生成AIやRAG活用 | 反復作業を減らし、企画・住民対応へ時間を移す |
代表的な壁は、①既存業務を変える合意形成、②デジタル人材と予算、③個人情報・情報セキュリティ、④既存システムとの連携、⑤デジタルに不慣れな住民への代替手段です。導入件数だけを成果にすると、現場の二重入力や住民の迷いが残ることがあります。「処理時間」「来庁回数」「再入力項目」「職員の手作業」「利用者満足度」など、導入前後で測れる指標を決める必要があります。
その施策を評価するときは、①住民の手間が実際に減ったか、②職員の作業が別の手作業へ移っただけではないか、③障害時・未利用者向けの経路が残っているか、を確認します。システムの新しさではなく、行政サービス全体の変化を見るのが自治体DXの要点です。
出典:デジタル庁「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」(標準化の目的、対象20事務、デジタル3原則)/デジタル庁「自治体窓口DX『書かないワンストップ窓口』」。制度・標準仕様・移行時期は更新されるため、導入判断では最新の国・自治体資料をご確認ください。
LOW POWER WIDE AREA — ツギノテ。LOCAL 編集部
LPWA(Low Power Wide Area)とは、消費電力を抑えたまま電波を広い範囲へ届かせることを狙った無線通信方式の総称。ひとつの規格の名前ではない。通信の速度と容量は小さく、センサーが測った数値を少量ずつ長く送り続ける用途に向く。
スマートフォンの通信は、動画を運ぶために速さと容量を優先します。LPWAはその逆側です。運ぶのは水位や積雪深、開閉の有無、電池残量といった短い数値だけ。かわりに、端末を電池で長く動かすことと、基地局から遠くまで届くことを取ります。写真も音声も送れませんが、山あいの施設や川べり、農地のように電源も回線も引きにくい場所で、確かめに行く手間を減らすために使われます。
ひとつは、免許を要しない周波数帯を使う方式です。日本では920MHz帯(サブギガ帯)が代表的で、LoRaWANやELTRESなどがこれにあたります。基地局を自分たちで立てられるため、通信事業者の電波が届きにくい場所でも構築でき、月々の通信料をかけない設計にもできます。そのぶん、基地局と設置場所の維持は使う側の仕事になります。
もうひとつは、携帯電話網を使う方式です。LTE-MやNB-IoTがこれで、既存の基地局に乗るため自前設備は少なく済みますが、回線ごとの利用料が継続的に発生します。地域BWA(2.5GHz帯の一部を地域の公共サービス等に割り当てる無線システム)とは別の枠組みなので、混同しないほうが読み違えません。
総務省の令和8年度「地域社会DX推進パッケージ事業(補助事業)」で一次選定された9件のうち、事業名にLPWAを明記していたのは舞鶴市(土木インフラ監視)と京丹波町(農林業DXと住民の見守りネットワーク)の2件で、大野市は農業集落排水施設の監視にLoRa無線を挙げています。いずれも、職員や委託業者が現地へ巡回していた点検を、手元の画面へ寄せる取組です。
導入時に見落とされやすいのは、電波が届くかどうかよりも続けられるかどうかです。整備費に補助が付いても、通信料・センサーの電池交換・故障時の駆けつけは日常の経費として残ります。誰が払い、誰が現地に行くのかを決めていない構成は、数年で値が止まります。
補足:規格の呼び名・利用できる周波数・料金体系は事業者と時期によって異なる。免許の要否は電波法上の扱いに従うため、導入時は総務省および提供事業者の最新情報で確認すること。
MACHINAGASHI — ツギノテ。LOCAL 編集部
町流しとは、踊り手と地方(じかた)が列をなし、町の通りを進みながら唄い踊る形式。越中八尾のおわら風の盆では11の旧町の支部がそれぞれの通りで行い、舞台の上ではなく道そのものが会場になる。
観客が席に着いて待つのではなく、行列のほうが移動してきます。同じ町でも、通りのどこに立つかで見え方が変わります。
会場が道なので、まちの形がそのまま演出になります。おわら風の盆行事運営委員会の各町紹介によれば、諏訪町は東新町へ続くゆるやかな坂にぼんぼりが並び、道の両脇を流れる用水の水音と狭い家並みにおわらの音曲が反響する。上新町は旧町の中で一番道幅が広いため、比較的容易に町流しを楽しめるとされます。福島は11支部の中で最大のおわら人口を持ち、大人数で広い通りを流します。つまり「どの町で見るか」は「どの道で見るか」とほぼ同義です。
屋外である以上、天候の影響を直接受けます。雨天では町流しと輪踊りは中断します。八尾曳山展示館ホールの競演会が屋内ステージとして案内されているのは、この不確実性を避けたい人のための選択肢という位置づけです。
各町の町流しの時刻は町ごとに定められ、公式サイトからPDFで公開されます。ただし運営委員会は「天候や出演者の体調管理等の配慮により、変更の可能性もございます」と明記しています。分単位の計画は成り立ちません。なお輪になって踊る「輪踊り」は町流しとは別の形式で、上新町では22時から始まる大輪踊りに観光客も入れると案内されています。踊りそのものは11支部で基本的に共通ですが、支部によって唄や踊りに古い特徴が残っている場合があります。
補足:記述はおわら風の盆行事運営委員会「11の町紹介」「競演会」(2026年8月9日閲覧)による。関連記事:おわら風の盆は3日目だけ2時間遅く始まります。電車で行く人が当日までに決める3つ。
MODORIGATSUO — ツギノテ。LOCAL 編集部
戻りガツオ(modorigatsuo)とは、黒潮に乗って北上したカツオが、秋に三陸・北海道沖でたっぷり餌を食べたあと南下してくる際に水揚げされる、脂の乗った秋獲りのカツオ。「下りガツオ」とも呼ばれる。
春から夏にかけて北上する際に獲れる「上りガツオ(初鰹)」が赤身主体のあっさりとした味わいであるのに対し、戻りガツオは脂がのった濃厚な味わいが特徴とされる。宮城県気仙沼港では上りガツオが5月初旬から8月、戻りガツオが9月から11月にそれぞれ旬を迎える(気仙沼観光推進機構)。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)によれば、上りカツオ(春獲り)の脂質は100gあたり0.5g、下りカツオ(秋獲り)は6.2gで、その差はおよそ12倍にのぼる。
同じ魚でありながら、獲れる季節によって脂質量が大きく変わる点は、カツオを理解するうえで基本になる知識。産地や通販サイトで「初鰹」「戻り」といった表記を見かけたとき、味わいの違いを見分ける手がかりになる。
戻りガツオの水揚げ量や最盛期の時期は、海況によって年ごとに変動する。特定の産地・年の水揚げ量を確かめる際は、必ず一次資料で最新の情報にあたりたい。
補足:関連語に利き鮎・産直・お取り寄せ。宮城県気仙沼港は生鮮カツオの水揚げ量で1997年から2024年まで28年連続日本一だった。
MUI-CHIKU — ツギノテ。LOCAL 編集部
無医地区(mui-chiku)とは、原則として医療機関のない地域で、その地区の中心的な場所を起点としておおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住しており、かつ容易に医療機関を利用することができない地区。
線の引き方は3つの条件でできています。医療機関がないこと、半径およそ4kmの中に50人以上が住んでいること、そして容易に医療機関を利用できないこと。人が少なすぎる集落は、この定義では無医地区に数えられません。医療が足りているかどうかではなく、対策の対象として把握すべき単位を切り出すための区分です。
無医地区にはあたらないものの、これに準じて医療の確保が必要だと都道府県知事が判断し、厚生労働大臣が適当と認めた地区は、準無医地区として扱われます。判断が知事から始まり、国が認めるという二段の手続きになっているため、地区の数は実態の変化だけでなく、都道府県ごとの申請の姿勢にも左右されます。統計を読むときは、無医地区と準無医地区を合算した数で見ることが多いのはこのためです。
無医地区と準無医地区の合計は、1999年が1,216、2004年が1,154、2009年が1,076、2014年が1,057、2019年が1,084です。20年で132減っていますが、2014年から2019年の5年では27増えました。医師や看護師の確保が難しいことに加えて、オンライン診療で対応しようとしても、診療を行う場所が地区の中に見つからないという二重の詰まりが指摘されています。未利用の診療所や公民館がない地域では、機器があっても実施できません。
この「場所がない」という詰まりに対して、郵便局の空きスペースを診療の場として使う取組が2023年度から各地で試されています。厚生労働省医政局が2023年5月18日に出した総務課長通知で、へき地等において医師が常駐しないオンライン診療のための診療所を開設する手続きが定められ、郵便局舎での実施が可能になったことが出発点です。2024年1月の通知により、現在はへき地以外でも実施できます。総務省の実証事業として石川県七尾市から始まり、2025年12月1日時点で8つの地域・12の郵便局まで広がっていますが、いずれも中山間地域・過疎地域・離島に区分される場所にある小規模局です。
補足:定義と地区数は、日本郵便株式会社が郵政民営化委員会に提出した資料「郵便局を活用したオンライン診療等支援事務について」(2025年12月25日)が厚生労働省「へき地の医療について」から引いた記載による。調査は5年ごとに行われており、上記は各調査年の数値。地区の把握は都道府県を通じて行われるため、増減には調査時点の判断も影響する。
NAMAZUME — ツギノテ。LOCAL 編集部
生詰めとは、貯蔵する前に一度だけ加熱処理をして、出荷のときは加熱せずに瓶へ詰める清酒の扱い方を指す言い方です。秋に出回る「ひやおろし」がこれにあたります。国税庁が公開している「清酒の製法品質表示基準」の概要は、参考として「生酒、生貯蔵酒以外の清酒は、通常、貯蔵する前と出荷する前の2回加熱処理をしています」と記しており、生詰めはこのうち2回目を行わない形になります。
清酒の製法品質表示基準の任意記載事項に挙げられているのは、原料米の品種名、清酒の産地名、貯蔵年数、原酒、生酒、生貯蔵酒、生一本、樽酒、「極上」などの品質が優れている印象を与える用語、製造時期です。「生詰め」も「ひやおろし」も、この列には入っていません。したがってラベルにこれらの語があっても、基準に照らして要件を確かめられる用語ではなく、蔵が選んで書いた言葉として読むことになります。
基準が定義している近い用語は2つあり、どちらも生詰めとは異なります。生酒は製成後、一切加熱処理をしない清酒に表示できるもの。生貯蔵酒は製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理した清酒に表示できるものです。生貯蔵酒と生詰めは、貯蔵と出荷という2つの場面のどちらで加熱するかが入れ替わった関係にあります。
同じ基準の必要記載事項では、「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」に保存又は飲用上の注意事項を表示することが定められています。対象は生酒であり、貯蔵前に1回加熱している生詰めの酒はこの義務の対象ではありません。瓶に冷蔵保存の指示がある場合、それは蔵が自ら足した記載にあたります。
あわせて、瓶詰めの年月にあたる製造時期の表示は、令和4年の告示改正で必要記載事項から任意記載事項へ変更され、令和5年1月1日から施行されています。加熱の回数を減らした酒がいつ詰められたかを外から確かめる手がかりは、制度上は必須ではなくなりました。
補足:出典は国税庁「『清酒の製法品質表示基準』の概要」、国税審議会酒類分科会 資料2-2「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正等について」(令和4年1月19日)。いずれも2026年8月22日確認。改正には令和4年12月31日以前に移出した清酒についての経過措置があります。加熱処理の温度・時間は蔵や商品によって異なります。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
NATIONAL CYCLE ROUTE — ツギノテ。LOCAL 編集部
ナショナルサイクルルート(national cycle route)とは、国内外のサイクリストを惹きつける優れた自転車ルートを、国土交通省が指定・PRする制度。走行環境や案内、受け入れ体制などの水準を満たしたルートが選ばれ、しまなみ海道は2019年に指定された。
自転車で日本各地を旅する魅力を高めるために、国が「ここは自信を持っておすすめできる」と認めたルートを選ぶ仕組みです。景色のよさだけでなく、道に迷いにくい案内表示や、途中で休める場所・自転車を運べる交通機関といった、旅を支える環境が整っているかどうかも見られます。
指定を受けるには、連続してつながった走行環境、統一された案内サイン、そしてサイクリストを迎え入れる地域の体制など、いくつかの基準を満たす必要があります。指定されると、国としての情報発信や国内外へのPRにつながり、地域にとっては観光の呼び水にもなります。瀬戸内海の橋を渡り継ぐしまなみ海道は、こうしたルートの代表例として2019年11月に指定を受けました。
大切なのは、指定そのものがゴールではないという点です。訪れる人が増えるほど、案内の更新、安全対策、地域の受け入れ役の担い手といった「続けるための手入れ」が問われます。看板を立てて終わりにせず、走る人・暮らす人の双方にとって心地よい状態をどう保つか——ルートを「持ち続ける」ことのほうが、じつは難しい仕事です。
補足:指定ルートや基準は制度の見直しで変わりうる。最新情報は国土交通省の発表で確認したい。
NATSU-SOBA — ツギノテ。LOCAL 編集部
夏そば(natsu-soba)とは、夏に収穫される新そばのことです。そばは種まきからおよそ二か月半で穫れる生育の速い作物で、同じ年に二度つくることもできます。このため「新そば」は一度きりではなく、夏(一般に7〜8月ごろ)と秋(10〜11月ごろ)の年二回あり、そのうち夏に穫れるものを夏そば、または夏新そばと呼びます。
私たちがふだん「新そば」と呼ぶのは、夏の終わりに種をまき秋に穫れる秋そばで、栽培量が多く、そば屋の「新そば」も基本はこちらを指します。「新そば=秋」という印象はこの主役から来ています。夏そばはそれに対し、春にまいて夏に穫る作型や高冷地・暖地の作型で生まれる、もう一つの旬です。
夏そばに力を入れている代表格が福井県で、七月に収穫される「福井夏そば」がブランドとして扱われます。長野などの冷涼な高冷地では六月中旬〜八月中旬に穫れ、鹿児島など暖地では春にまいて初夏に穫る作型が組めます。一方、そばの生産量そのものは北海道が全国最大(令和4年産で全国シェア約46%)ですが、その主力品種は初秋の収穫にかかるため、夏の旬の担い手とは区別されます。
一般に、夏そばは清涼感のある若々しい香りが持ち味とされ、秋そばは香り高く味が濃いと言われます。ただし味の印象は品種・産地・製粉・打ち手の腕で大きく変わるため、その一杯がどこの・いつの・どんなそばかを確かめて味わうのが確実です。
補足:生育・収穫の時期は品種・産地・その年の天候で前後する。味わいは一般的な傾向で個体差がある。品種・産地・価格・在庫・保存方法は商品や時期により異なるため、購入時はラベル表示と各店・公式情報で確認したい。
NINAITE-KATSUDO — ツギノテ。LOCAL 編集部
担い手活動(ninaite-katsudo)とは、ふるさと住民登録制度で自治体が指定する、地域課題の解決に資する活動。年3回以上の参加が、プレミアム登録の要件になる。
ボランティアの一般名ではなく、制度上の用語です。自治体が「これは担い手活動だ」と指定して初めてその扱いになり、参加実績はシステム上に記録されます。記録された回数が年3回以上に達し、マイナンバーカードによる本人確認を済ませた人が、ベーシック登録からプレミアム登録へ移ることができます(プレミアムは3地域まで)。
総務省のガイドライン(Ver.1.0・2026年3月27日)が年3回に数える活動として想定しているのは、自治体が指定するプロジェクトへの参加(イベントの企画運営、農業ボランティア、清掃活動、雪下ろし、草刈りなど)、自治体が指定する副業の実施(地域活性化起業人の副業型・シニア型、ふるさとワーキングホリデー)、公共的団体での活動(自治会、NPO、まちづくり団体、消防団などに所属して事務や集会に参画するなど)の3系統です。首都圏から遠い地域や離島など、何度も訪れるハードルが高い地域に配慮して、連続する3日間の活動を3回分として取り扱うことも可能とされています。
モデル事業の28団体が検討中の具体例(アイディア段階を含む)としては、農林水産業の作業、イベント・祭りの企画運営、自治会等の地域活動のほか、お城のすす払い、温泉掃除(掃除後に一番風呂に入れる)、トキの保全を目的とした草刈り、トレッキングコースのゴミ拾い、観光名所の鯉の引越し、自治会のお月見会のためのわら縛りの手伝い、雪中酒の掘り出し・出荷、コミュニティセンターの運営補助(食堂の配膳・仕込み、学童の見守り)、高校生の探究活動のアドバイザー・メンターなどが挙がっています(2026年7月17日資料)。
同じ資料は、担当者が一から新たな活動を企画するだけでなく、関係部署や関係団体の既存の取組・困りごとを、関係人口が関われる機会として捉え直すという方向を示しています。あわせて、作業だけを単発で募集するのではなく、作業後に住民と交流する時間を設けたり、草刈りを地域の自然や歴史を守る文脈で意味づけたりして、ひとつのプログラムとして募集する例が挙げられています。
読むときに分けておきたいのは、担い手活動の指定と、それを回す体制です。活動の候補は各地に元からありますが、募集・受け入れ・実績の認定は自治体の事務として発生します。資料はその負担軽減策として「ふるさと住民登録コーディネーター」の設置を挙げていますが、2026年7月時点で設置意向を示しているモデル団体は約3割で、約7割は検討中と記されています。
補足:制度は2026年度中の開始が予定され、ふるさと住民アプリ(仮称)は年度末リリース予定とされています。指定の基準・対象・運用は今後の実証を経て変わりうるため、最新は総務省の公表資料で確認を。民間の担い手マッチングプラットフォームの情報を担い手活動として指定する際の基準は、資料上「検討課題」として残されています。
ON-DEMAND TRANSIT — ツギノテ。LOCAL 編集部
オンデマンド交通(on-demand transit)とは、予約に応じて運行ルートや時刻を柔軟に決める公共交通。過疎地や需要の薄い時間帯の移動手段として導入例がある。
決まった時刻・ルートを走る従来の路線バスに代わり、利用者の予約に合わせて「呼ぶと来る」形で運ぶ、地域交通の新しい選択肢です。人口が減り路線の維持が難しくなった地域で、暮らしの足を残すための手段として導入例が増えています。
予約状況に応じて運行するルートや時刻を柔軟に決めるため、利用者がまばらな地域や需要の薄い時間帯でも走らせやすいのが利点です。複数の利用者を乗り合わせることで一台あたりの効率を高め、空車で走る無駄を抑えられます。決まった停留所だけでなく、自宅近くまで送迎する方式をとる例もあり、高齢者や通院の足として期待されています。買い物や病院、役所といった生活に不可欠な移動を下支えする役割が大きく、運転免許を返納した人の暮らしを守る手立てとしても関心が高まっています。
一方で、運賃収入だけでは成り立ちにくく採算の確保が難しいこと、スマホ予約に不慣れな高齢者への配慮、既存のバス・タクシーとの役割分担といった課題があります。大切なのは一度「導入」することよりも、地域で「続けられる仕組み」として設計し、運営を担う体制まで整えることです。電話予約の窓口を残す、乗り方の説明会を開くといった、利用者の目線に立った丁寧な運用も定着の鍵になります。
補足:採算や利用実態は地域差が大きい。導入前後のデータで効果を検証したい。
OVERTOURISM — ツギノテ。LOCAL 編集部
オーバーツーリズム(overtourism)とは、観光客の集中が、地域の環境・住民生活・観光体験に過度な負荷を与えている状態。
国内外で人気の高い観光地を中心に、混雑や観光客のマナー、住民の暮らしへの影響が社会的な問題として語られるようになりました。観光を「増やせば良いもの」とだけとらえてきた発想の見直しを迫る言葉でもあります。
具体的には、交通渋滞や公共交通の混雑、ごみや騒音の増加、静けさや生活道路が損なわれる住民生活の圧迫、宿泊費や地価の上昇などが挙げられます。さらに、混みすぎることで観光客自身の満足度が下がり、観光体験そのものの質が低下するという皮肉な結果も生じます。地域の環境・住民・来訪者の三方に負荷が及ぶのが特徴です。とりわけ生活の場と観光の場が重なる地域では、通勤や買い物といった日常の動線まで観光の波に巻き込まれ、住民が「自分のまちなのに落ち着けない」と感じる事態も起こります。負荷が特定の季節や時間帯、特定のスポットに偏りやすい点も、対応を難しくする要因です。
対策としては、入場制限や事前予約制、時間帯や場所を散らす分散化、料金設定による需要の調整、そして何より地元住民との合意形成などが試みられています。根底にあるのは、「来訪者数をとにかく増やす」段階から、「訪れ方の質を管理し、地域と観光を両立させる」段階への発想の転換です。あわせて、観光で得た収益を混雑対策や環境保全、住民サービスへ還元し、負担と便益の釣り合いをとる視点も欠かせません。
補足:交流人口の増加が必ずしも地域の利益と一致しない例のひとつ。関連語に交流人口。
PRIDE FISH — ツギノテ。LOCAL 編集部
プライドフィッシュとは、全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)が運営する、各都道府県の漁師が選んだ自慢の魚を季節ごとに紹介する取り組みです。公式サイトには、都道府県別・季節別の魚のほか、レシピ、食べられる店・買える店の情報が掲載されています。
特徴は、掲載内容が産地側の言葉で書かれていることです。旬の月、漁法、漁協が自主的に決めている資源管理の取り決め、ブランド名の由来と商標登録の年など、消費者向けの紹介文にはあまり出てこない具体が載ります。地域の水産物を調べるとき、統計とは別の角度からの手がかりになります。
たとえば鳥取県の夏の魚として登録されている天然岩ガキ「夏輝(なつき)」のページには、旬が6〜8月であることに加えて、漁師が漁期を6月1日から8月31日までに制限し、大きさも殻高10cm以上または重量200g以上に制限していることが明記されています。ブランドラベルは下殻が平らで殻長13cm以上のものに付き、その割合は全体の1割程度であること、生食のためノロウイルスと貝毒の検査を行っていることも書かれています。「旬」が味の話であると同時に、獲ってよい期間と大きさの取り決めでもあることが読み取れる書き方です。
掲載情報は各地の漁協・関係団体から寄せられたもので、更新のタイミングは魚や県によって異なります。漁期・基準・価格は年や漁協の判断で見直されうるため、実際に買う・食べる場面では、産地や販売元の最新の案内をあわせて確認するのが確実です。
補足:運営はJF全漁連。掲載の魚種・情報は随時更新される。関連語:委託販売。
RETRIEVAL-AUGMENTED GENERATION — ツギノテ。LOCAL 編集部
RAG(検索拡張生成・ラグ)とは、生成AIのモデル自体は作り替えず、外部に置いた文書を検索して参照させたうえで回答を作らせる仕組み。自治体では法令・マニュアル・議会会議録・FAQ集などを読ませる形で使われる。
素の生成AIは、学習した内容の範囲で「もっともらしい文章」を作ります。そのため、自分の役所の要綱や運用のように学習されていない情報は答えられず、それらしい形の誤りが混じります。RAGは、質問が来たときにまず指定の文書群から関係する部分を探し、それを材料として渡してから回答を作らせる方式です。参照した箇所を示せるため、職員が根拠にあたって確かめられる点が、行政実務では大きな違いになります。
ファインチューニングはモデルそのものに追加学習させる方法で、作り直しに手間と費用がかかり、文書が改正されるたびに追随しにくい欠点があります。RAGは参照先のファイルを差し替えれば内容が更新されるため、条例改正や様式変更が続く行政の文書と相性がよいとされます。総務省の令和7年度調査(令和7年10月31日時点)では、生成AIをカスタマイズしている390件のうち、方法としてRAGを挙げた件数が329件で最多、API連携が24件、ファインチューニングが19件でした。
RAGは「参照させる文書が整っていること」が前提です。マニュアルもFAQも整備されていない業務に導入しても、探す先がないため精度は上がりません。また、市販の書籍や有償の実務資料を読ませる場合は著作権者の許諾が必要になります。参照させれば必ず正しく答えるわけでもなく、検索が的を外せば誤答は起こるため、根拠表示や別経路での突き合わせ(法令検索との連携など)を併せて設計するのが通例です。
補足:数値は総務省「自治体における生成AI導入状況(令和7年度)」の公表値(複数回答)。用語の呼び方や実装方式は事業者によって異なる場合がある。
REGIONAL TRANSPORT COORDINATION BODY — ツギノテ。LOCAL 編集部
連携促進団体とは、改正地域交通法(令和8年法律第35号)で創設された制度。交通の専門人材やノウハウが不足する自治体に代わり、地域交通に関わる多様な関係者の連絡調整、交通施策の企画立案や合意形成、実装段階の調整を担う団体を位置づける仕組み。
「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第35号。公布後6か月以内に施行)で新たに設けられました。国土交通省「交通空白」解消本部の取組方針2026は、この制度が各地域で着実に活用されるよう、手引きの策定・周知や、団体と自治体の橋渡しを国が進めるとしています。
同じ取組方針の脚注には、人口5万人未満の市町村の84%で地域交通の専任担当者が不在(令和6年度地域交通行政調査)とあります。交通分析、戦略の策定、交通手段の実装までを自治体単独で担うのが難しい地域が少なくない、というのが制度の前提です。連携促進団体は、その足りない部分を外から補う受け皿として置かれています。
取組方針が挙げているのは、関係者相互間の連絡調整と連携、地域の実情を踏まえた交通施策の企画立案と合意形成、そして実装段階の調整です。計画をつくるところだけでなく、走り出したあとの調整まで含んでいるのが特徴といえます。改正法では、あわせて複数の輸送資源をまとめて位置づけ直す「自動車地域旅客運送サービス再構築事業」も創設されました。
補足:制度は創設されたばかりで、どの地域にどのような団体が指定されるかはこれから。運用の詳細は国土交通省が作成する手引き等で示される段階にある(2026年8月時点)。
RENRAKU BUS — ツギノテ。LOCAL 編集部
連絡バス(航路連絡バス)とは、鉄道駅とフェリーターミナルの間を、船の発着時刻に合わせて船会社が走らせる送迎バス。路線バスと違って時間帯を通して走る便ではなく、原則としてその会社の便の乗船客のための足である。多くの航路で運賃は無料か、一部区間のみ有料。
長距離フェリーの港は、貨物の積み下ろしと大型車の出入りを前提に埋立地へ置かれることが多く、鉄道駅から離れています。徒歩や公共交通で乗船する人にとっては、この一本が港へ届く唯一の線になります。
路線バスであれば、一本乗り遅れても次があります。連絡バスにはそれがありません。名門大洋フェリーの新門司港の案内は、乗船前の無料送迎バスをJR小倉駅発15時40分・18時40分の2便とし、「接続便が休航・欠航の場合、バスは運行しません」と明記しています。バスは船に従属していて、単独では走らないということです。
下船後はさらに時間が読みにくくなります。同社の案内では、着岸から出発まで15〜20分程度かかり、発車は「お客様の乗車が完了次第」。阪九フェリーの神戸側も「全てのお客様が下船完了確認次第バスが発車します」としたうえで、バスに荷物室がないため荷物が多いと乗り切れないことがあり、その場合は次のバスまで40〜60分待つことがあると書いています。時刻表があっても、動きだすのは船の側の都合です。
運賃の切り替わり方にも癖があります。阪九フェリーの泉大津航路では、泉大津フェリーのりばから南海泉大津駅までが無料、その先のJR和泉府中駅までが大人270円・小人140円。神戸航路では六甲アイランドの神戸フェリーのりばから六甲ライナー アイランド北口駅までが無料で、阪神御影駅・JR住吉駅・阪急御影駅までが大人230円・小人120円です。同じ車内にいながら、途中の駅から先が有料になります。
ペットの同乗可否や車椅子利用の事前連絡など、運行会社ごとの条件差も大きい領域です。港の名前で検索すると別会社の便の時刻が出てくることがあるため、確認は自分が乗る船会社の公式ページで行うのが確実です。時刻・料金・条件はいずれも変更されます。
補足:時刻・運賃・条件は名門大洋フェリー「のりば案内(新門司港)」、阪九フェリー「連絡バスのご案内」(新門司発・泉大津/新門司発・神戸)による。関連記事:船は21時間、バスは25分。フェリーに歩いて乗るなら、時刻表はもう一枚いります。
DISASTER VICTIM CERTIFICATE — ツギノテ。LOCAL 編集部
罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは、災害対策基本法第90条の2にもとづき、被災者の申請を受けて市町村長が住家その他の被害の程度を証明する書面。被災者生活再建支援金、税・保険料・公共料金の減免や猶予、応急仮設住宅の入居判断など、被災者支援策の適用を判断する材料として広く使われる。
条文は、市町村の地域に災害が発生した場合において被災者から申請があったときは、市町村長は遅滞なく、住家その他市町村長が定める種類の被害の状況を調査し、罹災証明書を交付しなければならない、と定めています。「り災証明書」と表記する自治体もあります。様式は令和2年3月の内閣府通知で統一化が図られました。
「遅滞なく」が何日以内を指すのかを定めた法令や指針はありません。実務では、住家の被害認定調査に人手と日数がかかるため、大規模災害では申請の受付開始から交付までに時間が空きます。国は、市町村が交付に必要な業務の実施体制を平常時から整えておくよう求めており、調査の速度を決めるのは発災後の頑張りより事前の準備という構図になっています。
申請は市区町村の窓口で受け付けるほか、マイナンバーカードを使ってマイナポータルから出せる場合があります。ただしオンライン申請に対応しているかどうかは自治体ごとに異なり、事前に電子申請の設定を済ませてあった自治体でしか使えません。令和8年熊本地震では、2026年7月29日時点で熊本県内16自治体がマイナポータルからの申請に対応していました(県内の市町村は45)。申請時には被災状況が分かる写真(できる限り撮影日時の分かるもの)などを求められるのが一般的です。
補足:罹災証明書は住家の被害を対象とする。事業所や動産、住家以外の被害については「被災届出証明書」「罹災届出証明書」など別の名称の書面を用意している自治体が多く、名称も要件も自治体ごとに異なる。必要な書類がどちらかは、申請前に各自治体の案内で確認する必要がある。
SANKAN-TODAI — ツギノテ。LOCAL 編集部
参観灯台(sankan-todai)とは、内部を一般に公開し、展望階までのぼれる灯台のこと。「のぼれる灯台」とも呼ばれ、全国で16基だけ。灯台は本来、船に位置を知らせる立入禁止の航路標識だが、この16基は公益社団法人・燈光会が海上保安庁の委託を受けて参観業務を行っている。
日本にある灯台の多くは、外から眺めることはできても内部には入れません。精密な灯器やレンズを守り、保守の安全を確保するためです。そのなかで例外的に、歴史や構造の面で公開に耐える16基が、専門団体の窓口を通して開かれています。それが参観灯台です。
参観には寄付金の協力が求められ、基準額は中学生以上ひとり300円(施設や時期で扱いが異なる場合あり)。灯台の維持と公開のための費用にあてられます。公開時間や期間は灯台ごとに異なり、通年公開とは限りません。たとえば青森・下北の尻屋埼灯台は例年4月下旬から11月上旬の公開です。天候不良や施設改修で参観を休むこともあるため、出かける前に燈光会のサイトで最新の状況を確かめるのが安心です。
北から順に、尻屋埼(青森)、入道埼(秋田)、塩屋埼(福島)、犬吠埼・野島埼(千葉)、観音埼(神奈川)、初島・御前埼(静岡)、安乗埼・大王埼(三重)、潮岬(和歌山)、出雲日御碕(島根)、角島(山口)、都井岬(宮崎)、残波岬・平安名埼(沖縄)の16基。燈光会は各灯台の窓口を巡る「のぼれる灯台(16基)スタンプラリー」も実施しています。
補足:基数・寄付金・公開期間は変わりうる。最新情報は公益社団法人・燈光会および各灯台の案内で確認したい。
PRODUCTION METHOD INNOVATION PLAN — ツギノテ。LOCAL 編集部
生産方式革新実施計画とは、スマート農業技術活用促進法に基づく二つの認定制度のうち、農業を営む側(農業者や農業法人など)が申請する計画のこと。スマート農業技術の導入と、あわせて行う生産方式の見直しを、地方農政局が審査して認定する。
ロボットトラクターや自動操舵装置、ドローン、環境制御システムといったスマート技術を取り入れるだけでなく、栽培や作業の段取りそのものを見直して生産性・収益性を高める――そうした取り組みをまとめた計画です。認定を受けると、機械や設備の導入にあたって金融・税制の優遇や、補助事業での審査時の加点など、優先採択の対象になりやすくなります。
同じ法律のもう一つの認定制度である「開発供給実施計画」が、メーカーや大学など技術を“作って供給する側”の計画であるのに対し、生産方式革新実施計画は技術を“使う側”の計画です。認定は農家の名前とともに公表されます。たとえば関東農政局は2026年4月、自動操舵トラクターや自動操舵の水稲直播機の導入と、田を平らにならす「ほ場の均平化」を組み合わせた計画を認定しています。
認定は、あくまで導入を「始める」段階を示すものです。その後も現場で使い続けられるかどうかは、機械の価格、故障時の保守体制、自動運転を支える通信環境、扱える担い手が地域に残るかといった、認定の外にある条件に左右されます。件数の増加は普及の入口であって、定着そのものではない、という点に注意が必要です。
補足:認定件数・対象・支援措置の内容は今後変わりうる。詳細は農林水産省・各地方農政局の一次情報を確認のこと。
SEISHUN 18 TICKET — ツギノテ。LOCAL 編集部
青春18きっぷ(seishun 18 ticket)とは、JR各社が春・夏・冬に発売する、全国のJR普通・快速列車の普通車自由席などが乗り放題になる企画乗車券。年齢制限はなく、2024年冬のリニューアルで、購入時に指定した日から連続する3日間/5日間のみ利用でき、飛び石利用や1枚の分け合いはできなくなった。
名前に「18」とありますが、年齢の制限はありません。使えるのは普通・快速列車の普通車自由席で、原則として特急や新幹線には乗れないため、同じ距離でも移動に時間はかかります。その「遅さ」を旅の楽しみに変えられる人のための切符、という性格を長く保ってきました。
対象はJR線の普通・快速列車のほか、BRT(バス高速輸送システム)やJR西日本の宮島フェリーなど。かつては紙に日付印を押す方式でしたが、近年は自動改札機をそのまま通れるようになりました。2024年冬のリニューアルで種類が3日間用・5日間用の2つになり、いずれも「購入時に決めた開始日から連続した日」でしか使えません。使わない日をはさむ飛び石利用や、1枚を複数人で分ける使い方はできず、グループで使う場合は人数分の購入が必要です。
連続日方式は、旅の設計を「散らす」から「まとめる」へと促します。週末ごとに日帰りを積み重ねる使い方はしにくくなった一方、連続した数日をひとつの旅としてまとめ、同じ地域に腰を据えて途中下車を重ねる旅とは相性がよくなりました。価格や利用期間は季節ごとに更新されるため、使う前に各社の案内で最新の条件を確かめるのが安心です。
補足:価格・利用期間・適用条件は季節や年度で変わりうる。最新情報はJR各社の発表で確認したい。
NET MIGRATION — ツギノテ。LOCAL 編集部
社会増減(net migration)とは、転入者数から転出者数を差し引いた人口の増減。出生と死亡による自然増減と分けて数えるため、移住施策や雇用の動きが表れやすい指標として自治体で使われる。
人口の増減は、原因の異なる2つの流れに分解できます。ひとつは出生者数と死亡者数の差である自然増減、もうひとつが転入と転出の差である社会増減です。総務省の住民基本台帳に基づく人口調査は、この2つを分けて集計しており、市区町村ごとの数値が毎年7月末に公表されます。
同じ「1年で300人減」でも、内訳が自然減280人・社会減20人の団体と、自然減50人・社会減250人の団体では、意味がまったく違います。前者は年齢構成の帰結で、移住相談の窓口を厚くしても短期では動きにくい数字です。後者は転出が主因なので、住まい・就業・通学のどこで人が出ているのかを先に確かめる余地があります。移住施策の成果を検証するときに社会増減だけを取り出すのは、自然減の分まで施策の失敗として背負い込まないための作法でもあります。
社会増減は、日本人住民と外国人住民でも大きく傾向が分かれます。令和8年1月1日現在の調査では、日本人住民が社会増となった都道府県は東京都・大阪府・神奈川県・千葉県・埼玉県・福岡県・愛知県の7団体にとどまった一方、外国人住民は47都道府県すべてで社会増でした。総計の欄だけを追うと、日本人住民の社会減が外国人住民の社会増で埋められ、横ばいに見える団体が生じます。
補足:住民基本台帳の社会増減には、転入・転出の届出のほか、職権記載や職権消除といった手続きによる増減も含まれる。国勢調査の人口移動とは集計の考え方が異なるため、両者の数値をそのまま突き合わせないほうがよい。
COOLING SHELTER — ツギノテ。LOCAL 編集部
指定暑熱避難施設(cooling shelter)とは、気候変動適応法第21条にもとづき市町村長が指定する、暑さをしのぐために開放される施設。冷房設備があり、熱中症特別警戒情報の発表時に住民等へ開放できることが要件。一般名称は「クーリングシェルター」。
2023年の気候変動適応法の改正で新設され、令和6年4月1日に施行されました。指定できるのは市町村(特別区を含む)で、対象は公民館・図書館・市役所庁舎などの公共施設に限られず、ショッピングセンター、ドラッグストア、郵便局といった民間施設も自治体との調整のうえで指定されています。環境省が広く知られる呼び名として「クーリングシェルター」を掲げているため、自治体の告知もこの名前で出ることが多いです。
環境省の手引きが示す要件は、(1)適当な冷房設備を有すること、(2)当該都道府県に熱中症特別警戒情報が発表された場合に住民その他の者へ開放が可能であること、(3)滞在のために供すべき部分について必要かつ適切な空間を確保すること、の3点です。専用の建物を新設する制度ではなく、いま冷房が入っている部屋を「その日は開ける」と約束させる制度だと読むほうが実態に近い。そのため自治体の公表する一覧には、施設ごとの開館日・時間帯・受入可能人数が並びます。
指定した施設が開くのは、熱中症特別警戒情報(熱中症特別警戒アラート)が発表されたときです。この情報は都道府県内の全ての暑さ指数情報提供地点で翌日の日最高WBGTが35以上と予測された場合に、前日14時頃に発表されます。もう一段低い熱中症警戒アラートでは開放義務は生じません。指定済みの市区町村は1,255(2026年7月17日現在)ある一方、特別警戒情報は令和6年4月の運用開始から発表実績がありません。国は令和8年度から、判定の際に参照しない情報提供地点を施行規則の別表で定めました。
補足:環境省は「自宅にエアコンがある場合等、涼しい環境が確保できる際には、クーリングシェルターへの移動は必須ではありません」としており、制度は自助を原則に、自助が難しい人への公助として設計されている。法にもとづく指定はしていないが暑さをしのぐ施設を用意している自治体を含めると1,405市区町村(同日現在)。
SHUKUHAKUZEI — ツギノテ。LOCAL 編集部
宿泊税(shukuhakuzei)とは、ホテル・旅館・簡易宿所・民泊などの宿泊者に課す地方税。使いみちを観光振興などに限定した「法定外目的税」として、総務大臣の同意を得て自治体が条例で新設する。
地方税法には全国共通の税目のほかに、自治体が独自につくれる税の仕組みがあります。そのうち、使いみちをあらかじめ特定の目的に限るものが法定外目的税で、宿泊税はその代表例です。2002年に東京都が導入して以降、京都市・大阪府・金沢市などへ広がり、インバウンド増加とオーバーツーリズム対応を背景に、2026年は導入自治体が2025年末の17から約50へ急増する見通しと報じられています。2026年7月1日には熊本市と宮崎市で1人1泊200円の課税が始まりました。
納税するのは宿泊者ですが、集めるのは宿泊施設です。施設が宿泊料金と一緒に税を預かり、まとめて自治体に申告・納入する「特別徴収」が基本で、施設側は事前に特別徴収義務者としての登録・申請を求められます。税額は1泊あたり定額のものが多い一方、宿泊料金に応じた段階制や定率制を採る自治体もあり、同じ「宿泊税」でも設計は一つではありません。無料の宿泊を非課税とするなど、免除の範囲も条例ごとに異なります。
財源としては、観光客の増加で生じる負担(混雑対策・ごみ処理・多言語対応など)を観光の受益者に求められる点が利点とされます。一方で、レジや宿泊管理システムの改修といった徴収の実務コストは施設側に発生します。また定額制は素泊まりにも高級旅館にも同額がかかる逆進性を持ち、課税の統一的な「原則」がないまま拡大している、という指摘も報じられています。税額・方式・免除は改定されうるため、旅行者も事業者も最新の条例情報の確認が必要です。
補足:導入自治体数・税額は2026年7月時点の報道・公表資料に基づく。県と市の双方が課税する地域では併課の調整が行われる場合がある。
SMART AGRICULTURAL TECHNOLOGY ACT — ツギノテ。LOCAL 編集部
スマート農業技術活用促進法とは、ロボット・AI・IoTなどのスマート農業技術の活用を後押しするため、2024年(令和6年)6月に成立し、同年10月1日に施行された法律。正式名称は「農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律」。
農業の担い手が減っていくなかで、限られた人手でも生産性を保てるようにすることが、この法律のねらいです。柱になるのは二つの認定制度です。一つは、農業者などがスマート技術を取り入れて生産のやり方を変える「生産方式革新実施計画」。もう一つは、メーカーや大学が新しい技術を開発して世に出す「開発供給実施計画」です。作る側と使う側の両方を、同じ枠組みで後押しする設計になっています。
計画が認定されると、日本政策金融公庫による長期・低利の融資や税制上の優遇、国の補助事業での審査時の加点など、金融・税制・予算の面で支援を受けやすくなります。開発供給実施計画の認定は2026年3月時点で50計画に達し、その中には急傾斜地の草刈りロボットや、中山間地域向けの自動水管理システムなど、平地の大規模経営に限らない技術も含まれています。
技術を「開発する」ことと、現場に「広げる」ことのあいだには距離があります。この目詰まりを解くため、2025年度には、メーカー・大学・自治体・農業者などが参加する官民連携の場「スマート農業イノベーション推進会議(IPCSA)」が設けられました。認定制度と普及の場を組み合わせて、開発と現場導入の好循環をつくろうという狙いです。
補足:認定件数・対象・支援措置の内容は今後変わりうる。詳細は農林水産省の一次情報を確認のこと。
SOO-ODORI — ツギノテ。LOCAL 編集部
総おどり(soo-odori)とは、阿波おどりで複数の連(れん=踊りのチーム)がいっせいに踊る演出のこと。ふだんは連ごとに順に通りを進む阿波おどりのなかで、多くの踊り手が同時に踊る場面は祭りの頂点とされる。2026年の徳島市阿波おどりでは、南内町演舞場の第2部終盤に阿波おどり振興協会による総おどりが組まれている。
阿波おどりは基本的に、連と呼ばれるチームが一組ずつ、鳴り物と踊り手をそろえて演舞場や通りを進んでいく形をとります。これに対して「総おどり」は、複数の連が枠を越えて同じ場でいっせいに踊る特別な演出で、踊り手の数と熱量が一気に膨らむため、その夜の見せ場になります。
徳島市阿波おどりでは、有料の南内町演舞場で第2部の終盤に阿波おどり振興協会による総おどりが行われるのが知られています。桟敷に囲まれた会場で多くの連が同時に踊るさまは迫力があり、有料席を取る動機の一つにもなっています。総おどりをめぐっては過去に主催体制や実施形態が議論になった経緯もあり、実施の有無や形は年によって変わりうる点に注意が必要です。
ひとつの連をじっくり追う楽しみ方に対して、総おどりは祭り全体の熱を一点に集める演出です。どの会場のどの時間に組まれるかは年ごとに異なるため、狙って観たい場合は公式の開催スケジュールで事前に確認するのが確実です。
補足:実施会場・時間・形態は変更されうる。最新情報は阿波おどり未来へつなぐ実行委員会・徳島市の発表で確認したい。
SOTO-YU — ツギノテ。LOCAL 編集部
外湯(soto-yu)とは、温泉地にある共同浴場のこと。旅館の建物内にある風呂を「内湯」と呼ぶのに対し、外にあってまちの人や旅人が利用する湯を「外湯」といいます。兵庫・城崎温泉が代表例で、まち全体を一つの宿に見立て、浴衣と下駄で外湯をめぐる文化が根づいています。
外湯は観光施設である前に、地元の人が日常的に使う生活の設備です。自宅に湯を引かず、共同浴場で体を温める暮らしが温泉地の一部に残り、その延長で旅人も同じ湯に入ります。湯船で隣り合った地元の人から、まちの穴場を教わることもある——外湯の楽しみは、そうした距離の近さにもあります。
城崎温泉には鴻の湯・まんだら湯・御所の湯・一の湯・柳湯・地蔵湯・さとの湯の七つの外湯があり、それぞれ建物の様式も泉温も謂れも異なります。1日入り放題の外湯券「ゆめぱ」(大人1,500円・小人750円)で、浴衣のまま何か所でもめぐれます。個別入浴は大人800円・小人400円のため、二か所以上まわるならゆめぱのほうが割安です。
共同浴場は長く使われ続けるほど、順に改修・休館が必要になります。2026年夏の城崎では、さとの湯が再整備で長期休業中(再開は2030年3月ごろの見込み)、鴻の湯も長寿命化工事で5月11日〜10月30日(予定)の休館中で、実際に入れるのは五つです。休みが出るのは、外湯がいまも現役で使われている証しともいえます。
補足:外湯の数・営業時間・料金・休館情報は変わりうる。最新情報は各温泉地の観光協会・各施設の案内で確認したい。
TANBO ART — ツギノテ。LOCAL 編集部
田んぼアートとは、葉や穂の色が異なる複数の品種の稲を植え分けて、水田の面に絵をつくる取り組み。決まった展望台から見たときに形が合うよう、下絵を遠近法で崩し、輪郭を座標にほどいて目印の杭を打ってから田植えする。青森県田舎館村が発祥の地とされる。
ふつうの絵と違うのは、正しく見える位置がひとつに固定されている点です。斜め上から見下ろすため、遠い側は縮んで見えます。したがって平面図の上では、遠い側を大きく、縦に引き伸ばして植えることになります。真上から見た田んぼの絵は、絵として正しくありません。
「田んぼに絵を描く」という説明では、工程が抜け落ちます。岩手県奥州市の田んぼアートに協賛団体として関わる髙惣建設は、流れを「図面→遠近法→座標化→杭打ち作業」と説明し、座標化と杭打ちで土地家屋調査士協会の協力を得たと記しています。田植えの前に測量が入るということで、田んぼアートは農作業と測量技術の合わせ技です。展望施設の高さも鑑賞用の付属物ではなく、歪ませ方を決める前提として設計に組み込まれています。
見頃は稲の側の都合で決まります。田舎館村の案内をもとにした弘南鉄道の告知では、見ごろ時期は例年7月中旬から8月中旬で、この時期は稲が隙間なく生育し発色も良い、8月下旬以降は出穂や葉の変色で全体的に色あせていくと説明されています。会期は10月まであっても、絵が最も揃っている期間は短いということです。規模の記録としては、埼玉県行田市の約2.8ヘクタールが2015年に「世界最大の田んぼアート」としてギネス世界記録に認定されています。会期・開館時間・料金は年ごとに変わるため、訪ねる前に各会場の公式案内で確認してください。
補足:工程の記述は髙惣建設「トピックス 田んぼアート」、見ごろ時期・会期・料金は弘南鉄道「2026田舎館村:田んぼアート第2会場テーマは『りんご娘』」(田舎館村ホームページより)および行田市・埼玉県物産観光協会の公表情報による。関連記事:田んぼアートの下絵は、絵として正しくない。展望台で形が合うまでに挟まる3つの工程。
TEION-CHOZO — ツギノテ。LOCAL 編集部
低温貯蔵とは、収穫した農産物を凍らせない範囲の低い温度に置いて保つ扱いです。品目によっては、傷みを遅らせる目的だけでなく、置いている間に起きる成分の変化そのものを狙って行われます。栗はその代表で、兵庫県立農林水産技術総合センターは「収穫した栗を0℃の温度に30〜40日貯蔵すると、酵素が働き、澱粉がショ糖にかわり、ショ糖含量は約3倍に増加します」と説明しています。
ここで増えているのは、外から加えた糖ではありません。栗はもともとデンプンを蓄えており、低い温度に置かれている間に酵素がそれをショ糖へ組み替えます。したがって貯蔵で変わるのは中身の組成であって、実そのものが大きくなったり重くなったりするわけではありません。同センターは実行するうえでの注意として、冷蔵庫に入れた日を忘れないよう記録しておくことを挙げています。温度ではなく日数で管理する工程なので、始めた日がわからなくなると終わりも決められません。
低温貯蔵を工程として組み込むには、温度を保った部屋と、そこを一定期間ふさげる見通しが要ります。茨城町の下飯沼地区でつくられる飯沼栗は、ひとつのイガの中に一粒の実がなる「1毬1果」を目標として栽培され、茨城県の紹介では収穫後2週間以上貯蔵されると記されています。栽培する農家は10軒ほどとされます。畑での作業が終わったあとにさらに日数を置く形なので、貯蔵設備を持つ産地でなければ同じ工程は踏めません。
家庭用の冷蔵庫にも冷蔵室より低い温度帯の区画(チルド等)が備わっていることが多く、条件に近づけられる余地はあります。ただし庫内の実際の温度は、機種・設定・収納量によって変わります。公表されている「0℃で30〜40日」はその温度を保った貯蔵での数値であり、家庭で同じ日数を置いたときにどれだけ糖が増えるかを一般化して示す資料は見当たりません。日付を記録して日数を管理する、という部分だけはそのまま持ち込めます。
補足:出典は兵庫県立農林水産技術総合センター「栗の甘みが3倍に」、茨城県「いばらきの栗特集2025」(2026年8月25日確認)。数値は栗についての記述であり、他の品目に当てはまるものではない。関連語:ブランチング、生詰め、土用干し。
TETSUYA-ODORI — ツギノテ。LOCAL 編集部
徹夜おどり(tetsuya-odori)とは、岐阜・郡上八幡の郡上おどりのうち、お盆の期間に夜通しで踊り続ける夜のこと。2026年は8月13〜16日の4日間で、おおむね午後8時ごろから翌朝4〜5時ごろまで踊る。会期(7月中旬〜9月上旬の約30夜)の頂点にあたり、全国から人が集まる最も混み合う夜でもある。
郡上おどりは、7月中旬の「おどり発祥祭」から9月上旬の「おどり納め」まで、日替わりの会場でおよそ30夜にわたって続きます。そのなかでもお盆の数夜だけは、夜が明けるまで踊りをやめない「徹夜おどり」となります。始まりはおおむね午後8時ごろ、終わりは翌朝の4時〜5時ごろで、日によって多少前後します。
郡上おどりはもともと、飛び入り自由で誰もが輪に入れる参加型の盆踊りです。徹夜おどりの夜はその熱気が最も高まり、地元の人にも旅の人にも人気で、まちの人口をはるかに超える踊り手が路上を埋めます。長良川鉄道が徹夜おどりに合わせた臨時列車を運行するなど、交通面でも特別な対応がとられます。
徹夜おどりは郡上おどりの象徴ですが、同時にいちばん混み合い、体力も要る4日間でもあります。宿は早くから埋まり、初めての人には負担が大きいことも。会期は約30夜あるので、徹夜以外の夜のほうが素の姿に近く、踊りに入りやすい、という見方もあります。開始時刻や会場は年ごと・日ごとに異なるため、訪ねる前に公式日程での確認が欠かせません。
補足:日程・時間・会場は変更されうる。最新情報は郡上八幡観光協会の発表で確認したい。
TOKUTEI-CHIIKI-DUKURI-KUMIAI — ツギノテ。LOCAL 編集部
特定地域づくり事業協同組合(tokutei-chiiki-dukuri-kumiai)とは、人口が急減している地域で、地域の事業者が集まって働き手を通年雇用し、繁忙期のずれる複数の事業者へ派遣する組合。人口急減地域特定地域づくり推進法にもとづく制度。
根拠となる人口急減地域特定地域づくり推進法は議員立法として国会に提出され、令和元年12月4日に公布、令和2年6月4日に施行されました。組合は都道府県知事の認定を受けて労働者派遣事業を行い、運営費についてはその2分の1の範囲内で公費支援を受けられます。夏は宿、秋は農作業、冬は加工場、というように季節ごとの仕事をつなぐ働き方を、制度は「マルチワーカー」と呼んでいます。
地方の一次産業や観光業では、仕事が季節に集中するため通年の雇用を出しにくく、働き手からは「1年分の収入にならない」という理由で敬遠されがちでした。組合が雇用の受け皿になることで、事業者は繁忙期だけ人手を確保でき、働き手は通年雇用と安定した収入を得られる、という設計です。移住施策と組み合わせ、仕事と住まいをセットで提示する自治体もあります。総務省の認定一覧によれば、2026年7月1日時点の認定は146組合・149市町村。前年12月1日時点の悉皆調査では、活用意向のある市町村が188、検討中が242、意向なしが1,288(対象1,718市町村)でした。
数の伸びとは別に、1組合あたりの規模は小さいままです。総務省が令和7年3月にまとめた調査研究事業の報告書(当時の認定100組合のうち83組合が回答)によると、派遣職員数の平均は約4人、組合員は「6〜10者」が最多、事務局の職員数は「1人」が53.0%、「2人」が28.9%でした。事務局の業務量が多い仕事は経理事務・派遣契約書類の手続き・勤怠管理の順で、いずれも派遣職員や派遣先が増えるほど比例して重くなります。派遣を増やすと収支は安定に向かう一方、同じ動きが事務局の負担を押し上げる構造があり、報告書は外部委託やデジタルツールの活用を対応策に挙げています。
補足:数値は総務省「特定地域づくり事業協同組合認定一覧(R8.7.1現在)」「特定地域づくり事業活用意向調査(令和7年12月1日時点)」および「令和6年度 特定地域づくり事業協同組合制度に関する調査研究事業 報告書概要版」(令和7年3月)による。関連語に関係人口、地域活性化起業人。
TOKUTEI-IKO-SHIEN SYSTEM — ツギノテ。LOCAL 編集部
特定移行支援システムとは、自治体の基幹業務システムを国の標準仕様へ移す原則期限(令和7年度末=2026年3月末)までに移行できず、令和8年度以降の移行とならざるを得ないことが具体化したシステムの区分。国が積極的に支援する対象として位置づけられ、移行完了期限は主務省令でおおむね5年以内を想定して個別に設定される。
「期限に間に合わない」を例外として扱うのではなく、制度の中に受け皿として組み込んだ枠です。2024年12月の関係省庁会議で導入が明確化されました。期限が消えるわけではなく、団体・システムごとに引き直される点が要点です。
該当の判断は事由別に整理されています。1=現行システムがメインフレームで運用されているもの、2=パッケージではない個別開発システムで運用されているもの、3=現行事業者が標準準拠システムを開発せず代替調達の見込みも立たないもの、4=事業者のリソースひっ迫による開発・移行作業の遅延の影響を受けるもの等。デジタル庁の公表では、令和7年7月末時点の3,770システムのうち3,345が事由4に集まっており、遅れの多くが自治体側ではなく供給側の事情に紐づいていることが読み取れます。
該当見込みは四半期ごとに更新され、令和7年7月末時点で3,770システム(全34,592システムの10.9%)・643団体、令和7年12月末時点で8,956システム(25.9%)・935団体、2026年6月30日公表では1万13システム(29.1%)・1015自治体と増えてきました。なお、名前の似た「一部機能の経過措置」は別の制度で、こちらは標準準拠システムへの移行自体は完了していることが前提の機能単位の猶予であり、遅くとも令和10年度末までに機能標準化基準へ適合する必要があります。
補足:公表値は時点によって更新される。個別の移行完了期限は主務省令で定められるため、自団体の扱いはデジタル庁・総務省の一次情報で確認を。
TOKUTEI-KYOJU-SOKUSHIN-KEIKAKU — ツギノテ。LOCAL 編集部
特定居住促進計画(tokutei-kyoju-sokushin-keikaku)とは、二地域居住を促すために市町村が作る計画。「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年5月15日成立・同年11月1日施行)で創設された。都道府県が二地域居住に係る事項を内容に含む広域的地域活性化基盤整備計画を作成したときに、市町村が作成できる。
法律の条文では、二地域居住は「特定居住」と呼ばれます。都市と地方など2か所に生活拠点を持つ暮らし方のことで、計画の名前にある「特定居住」もこれを指します。国土交通省の資料では「二地域居住促進法」「改正広活法」といった略称も使われますが、計画の正式な名称は特定居住促進計画です。
国土交通省の説明によれば、計画には区域、地域における二地域居住に関する基本的な方針(地域の方針、求める二地域居住者像等)、二地域居住に係る拠点施設の整備に関する事項、二地域居住者の利便性向上や就業機会創出に資する施設の整備に関する事項などを記載します。方針は住民の意見を取り入れたうえで公表し、地域と二地域居住者を適切にマッチングさせる、という建て付けです。計画に定められた事業には法律上の特例が置かれ、住居専用地域において二地域居住者向けのコワーキングスペースを開設しやすくする、といった措置がとられます。
読み落としやすいのが作成の条件です。市町村が単独で決められるわけではなく、都道府県が先に広域的地域活性化基盤整備計画を作り、そこに二地域居住に係る事項を含めていることが前提になります。市町村の側からは、二地域居住に係る拠点施設と重点地区を計画の内容に含めるよう都道府県へ提案することができます。
国土交通省が令和8年2月に公表した資料では、目標(KPI)は施行後5年間で累計600件。令和7年12月31日時点で国土交通省が把握している作成数は28件で、都道府県計画は20計画です。同資料に実名で載る28市町村を都道府県別に数えると19道府県で、いずれも都道府県計画を作った20の中に含まれています。
計画は書類だけで終わらない形になっており、複数省庁の予算がこれに紐づいています。令和8年度当初予算案では、特定居住促進計画区域内でのコワーキングスペース等の整備に対する個別補助(令和6年度創設)、計画に位置づけられた基盤整備の概略設計等を重点的に支援する官民連携基盤整備推進調査費などが並びます。農林水産省・経済産業省・内閣府の交付金にも、計画への位置づけを要件や重点化の条件とするものがあります。
補足:関連する仕組みに、市町村長がNPO法人や民間企業を指定する「特定居住支援法人」(資料では二地域居住等支援法人とも表記)と、市町村が組織できる「特定居住促進協議会」(同じく二地域居住等促進協議会)がある。法人の指定は市町村長が行うもので、資料には計画の作成を前提とする記述は置かれていない。作成数・指定数はいずれも国土交通省の把握分で、その後に増減している可能性がある。
TORA-JUKURE — ツギノテ。LOCAL 編集部
トラ熟れとは、二十世紀梨のような青梨の果皮が全体に緑黄色となり、緑色の中に黄色い模様が散在して見える状態を指す産地の呼び方です。鳥取市観光サイトは、おいしい二十世紀の見分け方として「梨の外観が全体的に緑黄色になり、緑色の中に黄色い模様が散在して見える(トラ熟れ)梨は糖度が高くおいしいとされています」と案内しています。
虎の毛並みのようなまだら模様に見えることから、この呼び名がついたとされます。青梨は熟すにつれて緑から黄色へ寄っていくため、色そのものが熟度の指標になります。移行の途中で緑と黄が混じり合う時期が、産地でトラ熟れと呼ばれる状態にあたります。
桃や柿は収穫後も追熟が進むため、買った時点で少し早くても置いておけます。梨はこれと異なり追熟しません。JA鳥取中央は、梨は追熟しないので保存するなら冷蔵庫に入れる、と説明しています。置いても甘くならないということは、店頭で手に取った時点の熟度が、そのまま食べるときの熟度になるという意味です。色を見る作業が、そのまま味を決める作業になります。
鳥取市観光サイトはあわせて、手に取ったときにずっしり重いもの、表面に傷がないもの、形が左右対称のものを目安に挙げています。食感を優先するなら黄緑色、甘さを優先するなら黄色を選ぶ、という選び分けも示されています。同じ棚でも、好みによって取る一個が変わることになります。
産地の選果場では、収穫された梨が袋のついたまま運び込まれ、袋をはがしたあとに重さ・色・形・糖度を検査して等級ごとに分けられます。JA全農とっとりによれば、最新鋭の選果場では光センサーが形だけでなく糖度や熟度まで瞬時に判定します。店頭で人が色を見て選ぶ行為は、選果場の機械が数値でやっていることを、目で追いかけている形になります。
補足:出典は鳥取市観光サイト「【2026】二十世紀梨・新甘泉、鳥取特産の梨の収穫は8月下旬から」(2026年8月12日更新)、JA全農とっとり「二十世紀梨」、JA鳥取中央「梨の保存方法」。色づきの進み方は品種・気象・収穫時期により異なる。関連語:予措。
TSUIJUKU — ツギノテ。LOCAL 編集部
追熟(ついじゅく)とは、収穫後の果実が時間の経過とともに食感や香りなどを変化させ、完熟の状態へ近づいていくことです。桃は完熟する少し前の状態で収穫・出荷されることが多く(完熟果は輸送中に傷みやすいため)、店で買った時点ではまだ果肉が硬い場合があります。
誤解されやすいのは、置いておけば甘くなる、という部分です。JAフルーツ山梨は、追熟させたほうが甘く感じるようになるものの糖度そのものが大きく上がるわけではなく、主に変わるのは果肉のやわらかさと果汁量だと説明しています。追熟に必要な期間の目安は収穫後1〜5日で、購入時点の熟度・品種・収穫時期によって変わります。
農研機構の報告によると、果実の地色を決めるクロロフィルは未熟な果実に多く、収穫適期に近づくにつれて急速に減り、消費者の手元に届く段階ではほとんど含有量に変化が見られないことが多いとされます。このためクロロフィル量は樹上での未熟・適熟判定には適しても、収穫後の食べ頃評価には適しません。代わりに研究で指標に選ばれたのは、果肉の軟化に伴って増える水溶性ペクチンでした(960nmと810nmの吸光度差を用いる非破壊指標)。
追熟は常温で行い、直射日光とエアコンの風を避け、1個ずつ紙で包んで重ねずに置く。冷蔵庫に入れると追熟は遅くなり、長く入れると香りや食感が落ちるとされます。食べ頃のサインは、お尻の緑が抜けてクリーム色になること、最後に熟すヘタ周りがやわらかくなること、香りが漂うこと。冷やすのは食べる1〜2時間前だけが目安です。なお、まどか・なつっこ・おどろきのように熟しても果肉がしっかりしている品種があり、硬いことが必ずしも未熟を意味しません。
補足:追熟の日数・方法は品種・収穫時期・保存環境によって異なる。ここに記した内容はJAフルーツ山梨の説明(2026年7月27日)と農研機構の報告にもとづく。関連語:土用干し。
UCHI-NO-KYODORYORI — ツギノテ。LOCAL 編集部
うちの郷土料理(uchi-no-kyodoryori)とは、農林水産省が整備する、各都道府県の郷土料理を由来・作り方・食文化とともに紹介するデータベース。
地域に根づいて食べ継がれてきた料理を、レシピだけでなく、生まれた背景や食べられてきた場面までまとめて記録・発信する取り組みです。冷や汁のように、同じ名前でも土地ごとに中身が違う料理を照らし合わせるとき、公的にまとめられた一次情報として役に立ちます。
郷土料理は、家庭や地域の暮らしのなかで口伝えに受け継がれてきたものが多く、記録に残りにくいという性質があります。担い手の高齢化や生活様式の変化のなかで、失われる前にきちんと書き留めておくことは、食文化の継承にとって大きな意味を持ちます。産地や由来を確かめたいときの拠りどころにもなります。
収録されているのは、その土地で受け継がれてきた一つの形です。実際には家庭ごと・地域ごとに細かな違いがあり、「正解が一つ」というわけではありません。記録を入口にしつつ、現地で出会う味の幅もあわせて楽しむのが、郷土料理との付き合い方だといえます。
補足:関連語に郷土料理・産直・道の駅。冷や汁(宮崎・埼玉・山形)など各地の食が収録されている。
WEB ACCESSIBILITY — ツギノテ。LOCAL 編集部
ウェブアクセシビリティとは、高齢者や障害のある人を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できることをいいます。総務省は、公的機関のホームページで対応が不十分だと「社会生活で多大な不利益が発生したり、災害時等に必要な情報が届かない状況となれば生命の危機に直面する可能性がある」として、確保への取組を進めています。
日本でよりどころになる規格が、JIS X 8341-3です。正式名は「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」。使っている端末やブラウザー、支援技術に関係なくウェブコンテンツを利用できるようにするための要件を定めています。現行版は2016年に出たJIS X 8341-3:2016で、国際的なガイドラインWCAG 2.0を土台にしています。
2025年9月に国際規格ISO/IEC 40500が更新され、その内容がWCAG 2.2に揃いました。これを受けてJISの改正原案づくりが進んでおり、公的機関向けの手引きである「みんなの公共サイト運用ガイドライン」も、改定に向けた研究会の第1回が2026年8月24日に開かれます。
達成基準(点検項目)は3段階に分かれています。数が増えるほど、対応の難度と範囲が上がります。
| レベル | 位置づけ | 例 |
|---|---|---|
| A | 満たさないと利用そのものが成り立たない基本要件 | 画像に代替テキストを付ける、キーボードだけで操作できる |
| AA | 公的機関が目標として掲げることが多い水準 | 文字と背景のコントラスト比を確保する、拡大しても読める |
| AAA | すべてのコンテンツで満たすのは難しい上位要件 | より高いコントラスト比、手話による情報提供 |
どのレベルを目指すかは、各団体が「ウェブアクセシビリティ方針」として決めて公開します。総務省の令和7年度調査では、方針を策定して公開している公的機関は52.1%でした。
総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン」(現行は2024年版)は、取り組む順序をこう整理しています。①対象範囲と目標レベルを決めて方針を公開する、②担当部署と各部署の役割を決める、③新規構築や外注の仕様に条件を書き込む、④JISに基づく試験を行って結果を公表する、⑤付属の「ウェブアクセシビリティ取組確認・評価表」で年1回確認して公表する。評価ツールとして総務省がmiChecker(エムアイチェッカー)を無償で提供しています。
同じ調査で、取り組んでいないと答えた団体の理由は「人員や予算が限られており、十分な投資ができない」が65.6%、「専門知識や経験を持つ人員がいない」が59.4%でした。ヒアリングでは「法的な義務、罰則がないため組織内の理解を得ることが難しく、工数確保、予算確保の両面で優先度が下げられてしまう」という声も挙がっています。熱心な団体でもPDFファイルの対応までは手が回っていない、という指摘もあります。
出典:総務省 情報アクセシビリティポータルサイト「公的機関のウェブアクセシビリティ」「みんなの公共サイト運用ガイドライン」/総務省「公的機関のウェブアクセシビリティ対応の促進に関する調査研究報告書 概要版」(令和8年3月26日)/ウェブアクセシビリティ基盤委員会「JIS X 8341-3改正概要」(2026年2月6日)。規格・ガイドラインは改正が進行中のため、対応判断では最新の資料をご確認ください。
YARIMAWASHI — ツギノテ。LOCAL 編集部
やりまわし(yarimawashi)とは、重さ数トンのだんじり(地車)を、速度を落とさずに交差点で直角に方向転換させる、岸和田だんじり祭など泉州地域の祭りに特有の曳行技術。
屋根上に乗る「大工方」と呼ばれる指揮者の合図に合わせ、数十人の曳き手が一斉に綱と梶棒を操ってだんじりの向きを変える。岸和田市公式サイトによれば、大阪府岸和田市の「カンカン場」はこのやりまわしが連続して見られる観覧地点として知られる。
だんじり祭全体の曳行時間の中でも、やりまわしが行われる交差点に見物の熱気が集中する。観覧地点や時間帯を選ぶ際の目安になる。
やりまわしが行われる交差点や時間は、年・地区・当日の交通規制によって変わりうる。観覧を計画するときは、当年の公式案内で最新の日程を確認したい。
補足:関連語にだんじり・地車・宮入り・カンカン場。
YOKOTENKAI — ツギノテ。LOCAL 編集部
横展開とは、ある自治体で成果の出た取組を、他の自治体が自分のところに移して実施すること。国・都道府県が事例集や表彰制度を設ける際の目的として掲げられる語で、上下関係のある「普及」ではなく、同じ立場の団体どうしで移し替えるという含みがある。
愛媛県が隔年で開く「行革甲子園」は、この考え方を審査に組み込んだ例です。募集要項は評価のポイントを「創(そう)=創意工夫あふれる取組か、先進性・独創性があるか」「効(こう)=費用対効果の高い取組か」「種(しゅ)=他にアイデアの種を提供する取組か(他の自治体に広がる取組か)」の3つとしており、3つのうち「種」だけが応募団体の外側を見ています。要項は大会の狙いを「自らの取組を全国に横展開し、また、全国の優良事例を自らの取組に活用すること」とも書いています。
横展開が語られるとき、共有されやすいのは着想のほうです。一方で受け取る側が要るのは、導入までにかかった期間、費用が誰にいくら発生するか、動かすのに何人必要か、といった実施条件になります。行革甲子園2024の公開資料では、この種の情報は表彰の記録や発表資料そのものより、参加者からの質問と各団体の回答の抜粋に具体的に現れていました(例:新潟県湯沢町「導入決定から契約、スタートまで3か月程度」、山形県山形市「技術的な面では、どの消防OAメーカーでも連携は可能ですが、現時点では全てのメーカーで費用が発生します」)。
横展開が実際に起きたかどうかは、追跡の仕組みがないと確かめられません。愛媛県は募集要項の参考欄で、発表事例を参考に類似の取組が他の自治体で取り入れられるなど「優良事例の波及効果が認められています」と記していますが、どの事例がどこへ何件広がったかを一覧にした公表資料は確認できていません。事例が共有されたことと、他所で再現されたこととは、分けて読む必要があります。
補足:制度・審査軸は開催回や年度で変わる前提で、最新の一次情報(愛媛県 市町振興課「行革甲子園」ページ、各大会の募集要項)で確認を。行革甲子園の応募事例は分野別・都道府県別の一覧として県ホームページで公開されている。
YOSO — ツギノテ。LOCAL 編集部
予措(よそ)とは、収穫した柑橘を貯蔵する前に日陰で干し、果実の水分をわずかに抜いておく下準備の工程のことです。JA全農とくしまは、徳島の「冷蔵すだち(10〜3月)」について、露地すだちを「予措」と呼ばれる陰干しの後に冷蔵したものと説明しており、酸味は比較的穏やかになるとしています。
読み方は「よそ」。字面のとおり「あらかじめ措(お)く」という意味で、貯蔵そのものではなく、貯蔵に入る前の段取りを指します。収穫直後の果実は水分を多く含んだ状態にあり、そのまま冷蔵庫へ入れると、貯蔵中に傷みや障害が出やすくなるとされます。日陰でしばらく置いて余分な水分を落ち着かせてから冷やす、という順番です。
徳島県のすだちは、ハウスすだち(3〜8月)、露地すだち(8〜10月)、冷蔵すだち(10〜3月)の組み合わせで年間を通じて出荷されています。木から穫れる時期そのものは限られているため、秋以降の半年ぶんは、露地で穫ったものを予措して冷蔵した在庫が担うことになります。予措は、この周年出荷の設計を成り立たせている工程です。
地理的表示(GI)に登録された「徳島すだち」では、生産の方法として品種・栽培方法・貯蔵・出荷規格の4点が定められており、このうち貯蔵については「収穫後、貯蔵する場合は、徳島県が推奨する貯蔵方法に基づき管理する」とされています。JA全農とくしまは、GIとして出荷する生産者に対し、各作型の出荷前に「栽培・貯蔵管理調査票」の提出を求めています。予措を含む貯蔵の扱いは、産地の慣習であると同時に、記録の対象でもあります。
補足:予措の日数・場所・温湿度の条件は、品目や産地、その年の天候によって異なる。ここに記した内容は、JA全農とくしまおよび農林水産省のGI登録公示・明細書にもとづく一般的な説明である。関連語:土用干し。